フランス語圏の漫画を日本ではバンド・デシネ、略してBDとして紹介することが多いわけですが、そのBDの世界で、ジョアン・スファールは例外的なほど多作、かつアニメや実写映画の監督を務めるなど多才なことでも知られています。一般にBD作家は日本の漫画家と比べると寡作なのですが、スファールの場合は、ほとんど日本の漫画家かというくらいに多作なようです。
スファールの作品の中には宗教に対する風刺もあります。ただし作風は、おそらく一般にシャルリー・エブドの風刺漫画から想像されるようなものとは異なっています。たとえば長編『ラビの猫』(これは自ら劇場用アニメ版の監督もしています)では「猫はユダヤ教の宗教儀礼を受けてユダヤ人になれるのか?」という設定からストーリーが展開します。(さらに付け加えると『猫』ではユダヤ教ラビがイスラム教修行者とある出来事を通じて意気投合するシーンが描かれます。さらに終盤は共に旅する仲間となります)
とりあえず、シャルリー・エブドで作品を描いたことによってスファールを「シャルリー・エブドの漫画家」と考えると誤解に繋がることは言っておきたい。
「スファールという漫画家はシャルリー・エブドに作品を描いたこともある」というくらいの理解が適当かと思われます。
ただし、スファールは、シャルリー・エブド襲撃事件を受けていくつもの作品を発表しています。
たとえばフランス語版ハフィントン・ポストの『Si Dieu existe』という作品。
http://www.huffingtonpost.fr/joann-sfar/carnets-dessins-si-dieu-existe_b_6602154.html?1423152000
猫が言います。
"Si Dieu existe, il ne tue pas pour un dessin."
「神様はいるよね、でも神様は1枚の絵のために殺したりしないよね」
最後に、日本語訳のある2冊の本を紹介してこの増田を終えたいと思います。
http://www.amazon.co.jp/dp/4861139562/
プチバンピ―学校へ行く