2015-08-21

デザインの浪費

だいたい2000年ごろには新築をしなくなった。工場とか大型店舗新築ってほぼなくなった。建物が余りはじめて、店舗を出したければ既存空き家を使って内装看板だけやりなおせばいい時代になっていった。過剰な消費が終わってきて、健全な方向に向かったような気がする。でも、飲食店などを見ていると、売れないので閉店と新規開店を繰り返していた。看板だけ取り替えて。そこで出てくるのはデザイナーと言われている人の仕事。店のマークやらロゴやら、メニューやらを新しくする。でも、これも浪費されてる感があったよ。中身がなにもないのに、デザインだけ新しくして。そんなもんにカネを使って。という感じ。肝心の食べ物刷新されてない。

バブル崩壊後、建築屋はずいぶん批判されたんだよ。ムダな建築をつくっては壊してと。建て主の要望通りやってるから建築業者がそんな自覚を持つわけはないけど。デザイナーも同じだと思うんだよね。業界社会の浪費の元になっているとは気づかない。文化を低下させているとは気づかない。いっけん、新しく見えるもの大量生産して大量消費させて、自分たちは紙に描くだけなんだからエコじゃないかと勘違いしてる。でも、それは違うんだよ。目にするデザインが新しくなってクルクル変わること自体が浪費なのよ。

建て主が、建て替えようかと思っていても、ムダだと思えば、既存建物を利用して増築する案も提出する。いまでこそ、古い建築を利用するのが当たり前になっているけど、自分建築屋でやっていた時代は程遠いものだった。築30年なんて壊すのが当たり前で。古いってだけで壊すんだよ。痛々しかった。デザインやってる人は、まだその浪費の時代バブルの時代から抜けきれなくて、建築デザインやらせると、バブルっぽいデザインをするのね。デザイン業界って建築業界より20年遅れているような気がするんだよ。やっぱり紙に描くものからカネのかかり方に現実味がないんだろうなと思う。1980~90年代建築家設計事務所も、同じようにデザインを浪費していた。現実にできあがった建物があまりに使えなくて、取り壊されるなんていう浪費の極地みたいな無残な建築家もずいぶんいた。デザイン業界も、自分の作ったものが向こう数十年は使えるものとして、浪費の対象にならないように気をつけるべきでしょ。浪費だなあ~という感覚が、素人ユーザーになんとなく察知されれば、いまの時代ではそのこと自体バカにされる元になる。それがプロにはわかってないように思える。

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