シフレって何だっていう話の前にですね、
いやその、車壊れたんですよ。
たまたま偶然ディーラーの前で故障して、そのまま修理の見積もりってことになりまして、そしたら修理費20万かかるっていわれたんですね。
もう古い車なんで、20万かけて直したところでまた故障するかもしれないので、うんじゃあ廃車しようということになったわけです。
そこで嫁が、一人で廃車手続きを行ってくるね、というので、私が全力で止めるわけです。
ちょっと待てと。
29歳これから子供を作りそうな夫婦。そんな夫婦が車を修理せずに廃車にする。これは誰がどう見たって、商売チャンスだと。鴨が葱と鍋とカセットコンロとビールを背負ってきているようなもんだと。
車のディーラーなんてものは、飢えたチーターがひしめくサバンナ。そんなところに車に関して右も左も分からぬ嫁が行ってしまっては、あれやこれやと言いくるめられて試乗させられて、よその車を見る前に、この車にしようなんて口車に乗せられてしまうと。
だからここは僕一人に任せてくれと。
僕が行ってきて、営業の巧みな言葉に惑わされず、試乗してみませんか。などというハニートラップを交わし、曇りなき眼で見定め、手続きをしてくる。
そう嫁にカッコつけてディーラーにきたわけなんですけど、
それが、
あの、
ぜんぜん営業されないでやんの!
いやーびっくりしたわー。もうぜんぜん営業してこないもの。ついた営業さん、着々と廃車処理を進めていくだけで、試乗の話どころか、新車系の話題いっさい触れてこないの。
ほらたとえばさ、廃車した後お車どうされますか?とかさ、パンフレット見てみますかとか?さ、今キャンペーンやってまして・・・・・・とかさ、試しに乗ってみますか?とかさ。
なんかこう、軽く触れてみてもいいんじゃないの?いや、オタクで買うかどうかは分からないよ?興味ないですよ?でも、軽く軽く触れてみてくれたら聞かないこともないよ?
と、内心思っていたんだけども、営業マンはさくさくっと手続きを進めていくわけですよ。それはそれは段取りよく。
いや、いいんですよ。こちらとしても廃車手続きをしに来たわけですから。でもなんだろ、拍子抜けというか、淋しいというか・・・・・・。
だから、興味ないんですけど、こう、机に置いてあるパンフレットなんかをね、ちらちら見たりするわけですよ。それとなくね。
それでも手続きは着々と進んでいるわけですよ
あれー、おかしいなぁ。いや、いいんだけどもね。でもさ、チャンスだと思うんだけどねー。ほら車がなくなっちゃうわけですから、探してる可能性大ですよー。
興味なさそうに見えても実は興味があるかもしれないですよ?いや、興味ないですけど、全然。
「あー、試乗キャンペーンとかやってるんですね」
って、机のPOPを見ながらボソッて。
そしたら、営業さんから軽ーく言われたんですね。
なんていうか、
こっちはね、営業されるかもしれないってドキドキしながら今日来てるわけ。言葉巧みにだまされないように、警戒しながら。でも内心、車なくて困っているわけで。ほんとは興味はあった。相手が一生懸命説明してくれるなら、懇切丁寧に勧誘してくれるなら、ちょっとぐらいなら営業してくれてもいいよ。実はそう思ってた。
ほいほい営業に乗るような軽い男だとは思われたくなかったから、堅めの服装で来てたけれども、靴はちゃんとスニーカーだったの、運転しやすいように。
それが、それがですよ、軽ーく、試乗しちゃいますか?だなんて。
そんな、簡単な一言で試乗してしまうような、そんな男とばかり営業していたわけですか貴方は?不潔だ不潔すぎる。
そんな営業さんは、お客さんを試乗だけ、散々させた挙げ句、ノリが悪ければ、ポイっと捨てるにきまってるんですよ。ろくな説明もしてくれないし、でも試乗だけは何度も迫ってくるにちがいない。
そんなね、試乗だけをさせる関係なんて、いわば「シフレ」(試乗フレンド)ですよ。
僕もね、昔はそういう時期はありました。営業さんにほいほいついていって、試乗ばっかりする時期。いわゆるシフレですね。
でも、それって時間の無駄だって気付いたんです。そんな愛のない営業を受けたって、軽い気持ちの試乗をしたって、そのとき楽しいだけで、決して心は満たされないって。
僕は、絶対にシフレになんかならない!!
って心で叫んで、試乗を断り廃車手続きを終わらせてきた。
というわけで、最近カーシェア使ってます。カーシェアっていいですよ。普段そんなに車乗らない人で、自宅の近所にカーシェアやってるところがあれば是非おすすめ。