2014-02-11

まっすぐ帰らない男たち

少し前にテレビで「まっすぐ帰らない男たち」という特集があった。仕事が終わると、ゲーセンカフェテリア書店飲み屋家電量販店にたたずむ男達の姿を追った内容だった。中には週3回はカプセルホテルに泊まるという男性もいた。

仕事でもない、家庭でもない。とにかく「立場」のない世界に居たいとの言い分だった。あるトレーダー男性ゲームセンターメダルゲームに熱中していた。自分の金を使い、ただただメダルを増やしたり、減らしたりする。その結果が自分のみにしか関係がないのが理由らしい。なるほど、他人の金を預かり、殖やすことを目的とされた仕事とはどれだけ殖えても自分のためではないことがストレスになるというか、心の手ごたえがないのだろう。その人の、ただ、結果が自分しか関係がないことが安心する、と言った言葉がとりわけ心に残っている。

私もずいぶん定時上がりの日々を過ごしている。その後は帰宅せずかならずどこかを経由する。それは今まで意識したことはなかったけれど、やはり、職場でもない、家庭でもない、ただ一人自分で居たいと望んでいるのだろう。そのテレビ番組を見てはっと胸を突かれたように感じた。私は一人になりたいのだ。

私は定時で帰る。まだ職場には大勢残っている。SI屋とはそういう仕事だと思う。いつのまにか、スキルなんて求められず、ただただ時間を注ぐだけの職種になって久しい。そのむなしさ、というか、不安というか、自分場違いさ、を感じて職場はいたたまれない気持ちを抱いたままだ。オフィス大勢ほとんどが協力会社、という派遣社員だ。3月になるとまた減ったり増えたりするのだろう。SI屋の自己保身、というか、互助のようなシステムだと思う。この間の横浜銀行カード偽造事件を見て暗い気分になった。

話がずれてしまった。職場に居づらい、というのはもう転職シグナルなのだろう。何を見ても救いはない。SI屋はこれからどうなっていくのだろう。派遣資格厳格化が言われているが、どうせまたいろいろ抜け道が横行するのだろう。できないことをできると答えることを強要される人たちが、スキルミスマッチ職場で働くのだろう。一人でいるとそんなどうでもいいことを考えてしまう。

職種は違えど、いろんな男たちが、ただ一人になりたい、と望んで、いろんな場所で過ごしている。そんな悲しい現実みなみているし、男性ならそのなかの一人なのかもしれない。私は録画していたそれをみて泣いた。

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