おそらく、新成人の数は、男性何万人、女性何万人、という報道がなされるだろう。
その際ぜひ注目して欲しいのだが、おそらく男性成人数の方が、女性成人数よりも5~6%は多いはずである。
あまり知られてないが、実は新生児の段階で、男児の出生数は、女児出生数より、5~6%は多い。(日本における数字)
そしてそのまま、成人時点、或は適齢期時点でも、男性数は女性数より5~6%は多い。
この男女の同世代における個体数比を、人口学的には「性比」という。
女性の方が長生きなので、年齢を重ねるにつれ、性比は男性過剰→女性過剰へシフトし、日本全年齢平均では、多少女性過剰である。
人口置換水準出生率が「2.07」とされ、「2.00」じゃない理由は、男性が過剰だから、2.00では男性過剰分が
性比の話だと、中国韓国インドベトナムの極端な男性過剰問題があって、それは相当深刻なテーマなんだが、今回はその話は割愛する。
自分は長らく「適齢期性比はどの社会でも男性過剰である」と信じていたが、先日1970年の国勢調査人口を見て、目を疑った。
その時点の20代後半の性比は、実は女性のほうが過剰だった。
その時点で20代後半というのは、1940~1945生まれ。
おそらく、乳幼児期に大戦等で栄養状態が悪く、或は感染病の影響などで、女児より男児の方が「自然淘汰」された
結果と思われる。
(徴兵される危険性がある男児を間引いた、という説も考えられなくもないが、おそらくそれはないだろう)
しかしよく考えたら、人類の長い歴史の中では、今のような「飽食」「感染症の心配がない」時代の方が、
極めて珍しいのである。
その過程で、多くの乳幼児が生殖適齢期になる前に死亡した。(特に男児が死亡)
となると、長い人類の歴史の中で、生殖適齢期性比が男性過剰な時代はごく一部でしかなく、男女同数、
ないし女性過剰の時代の方がメジャーだった、と言えるのではないか?
逆に言えば、人類という生物種は、乳幼児における男児死亡率の高さを前提として、
予め新生児時点で、5~6%は男児過剰で生まれてくるように「進化」してきたのではないか?
今の「男児新生児が女児より5~6%多く生まれてくる」のは、長い人類の生物種としての進化獲得の名残である。
先日「男児が女児より多数生まれるのは、ヒトの生物種としてのプログラムミス、バグである」という趣旨の本の