2023-07-22

ビニールプールを舐めていた

親父が孫に会いたいがために、「土日のどっかで孫を預かるよ。ビニールプールに入れて遊ばせる」と言ったらしい

そして私にとっては甥っ子(1歳半)が日曜日の8時半に水着を持参してやってきた

親父はその日、仕事が入り、家には私と母だけだ

仕方がないので母と協力し、ビニールプールを設置、遊ばせ、撤収を行ったのだが、これがまあ大変だった

ビニールプールは2.5メートルほどの大きいやつで、小さな滑り台がついている

二週ほど前に和室ビニールプールを膨らませて甥っ子を遊ばせ、そのまま置きっぱなしにしていた

「実際に水を入れるならもう少し空気を入れたい」と母が言うので、車用のコンプレッサーコンセント変換器を使うことにした

500円玉大の空気穴は二重構造になっていて、蓋をはずしてもその中にある弁が穴をふさぐのですぐさまは空気が抜けない

コンプレッサーの管で弁を押し開けて、管を中に通してスイッチをオンし、空気を送り込むが、これがまあ上手くいかなかった

なぜかというと押し込んだ空気分より、弁を押し開けた分の隙間から抜ける空気の方が多かったか

ごおおおおおおという機械音と「プールまだなん?」という物言わぬ甥っ子の目線に耐えながら硬いビニール空気穴を二本指でつまみ狭くしつつ、ひたすら空気漏れないことを祈る時間苦痛だった

10分ほど格闘し、ネットでも調べたが有効解決策が見つからず、ようやく自力で見つけた解決方法コンプレッサーの管をもっと奥の方へ突っ込むことだった

空気穴近くで空気を送り込むのではなく、そこから離れた場所で奥の方へ空気を送ることで、ビニール壁に空気が当たりそのまま近くの空気から漏れ出ることを防ぐ

言葉にすれば簡単理屈だが、当時の私は寝起きの頭でプールの方に何か空気漏れを防ぐ理屈存在するのかと考えていたのでなかなか気づけず、イライラしてしまった

コンプレッサーの力でも大きなビニールプールが膨らんだのは10分近くかかった

これを弟の嫁と父は足踏み式のポンプでふくらましたのかと思うと、それは愛でしかないなと思った

ようやく膨らんだビニールプールを庭の芝生部分に設置して、ホースで水を入れる

その間に母は甥っ子に水着を着替えさせていた

事前に会社の人に「水が冷たいとなかなか入りたがらないから午前中に水をはっておいて、午後に遊ぶほうがいいよ」と聞いていた

ただ当日は真夏日であり、入れたばかりの水もそこまで冷たくなく、甥っ子はぎゃあああああああと歓声を上げながら遊んでいた

大人が浸るには小さいプールなので、近くにベンチを置いて、母と一緒に自分たちは座りながら足だけプールに浸し、甥っ子を遊ばせていた

水辺で手をバタバタと動かし、発見享楽のたびに笑顔を見せ、「こえっこえっ(これこれ)」とこちらの顔を観て指さし、興奮を交えながら言葉足らずに感情を共有しようとする様は愛らしくかわいかった

ただ1時間くらい夢中で遊んでいたので、赤子の体力って無限なの?とも思った

昼過ぎくらいに父が帰ってきて、そこから甥っ子の面倒を交代した

後で聞いた話によると、甥っ子は午睡の前に1回、午睡後に1回プール遊んだらしく、本当に赤子の体力は無限なのかもしれん

これで一日が終わっていれば、ちょっと疲れたなくらいだったのだが、大変だったのはビニールプールの片づけだった

夕方になっても父は甥っ子に夢中でいっこうにプールを片付けしようとしないので「プール片づけしようと思うんだけど」と言ったら「おう任せた」と笑っていた

いい加減にしろよと思いつつも、翌日になって水がぬるぬるになったプールを一緒に片付けてと言われる方が嫌だったので、バケツ風呂桶に取っ手がついたやつを用意し、プールを片付けることにした

母に水はどうしたらよいかと聞くと、花や野菜や木にかけてほしいとのことだったので、バケツで水を掬い、水やりに使って、5分の1ほどの水嵩を減らした

残りの水で芝生が水でびしゃびしゃになる分には仕方ないと了解をとってあったので、プールに手を突っ込んで、栓を抜いた

これで片付け終わりだわと思っていたが、全くいっこうに水が抜けない

ホースの水で遊んでもいたので、水かさはたっぷりプールの底は芝生にぴたっとくっついていて、栓は500円玉くらい

水が抜ける隙間がどこにもないのだ

もちろんそんな大量の水が入ったプールを持ち上げる筋力などない

仕方なしに取っ手付きの風呂桶を片手に中腰になり水を掬い、庭のコンクリート分目掛けて、水を撒いた

中腰からアッパーカットの要領でたぶん30回くらいは水を撒いた

人間の皮膚の汚れや表面菌のせいか、はたまた甥っ子がどこかのタイミングで水中で粗相をしていたからかコンクリートに打ち付けられた水は泡を含んでいて周囲へと広がっていく

中腰と水の重さと同じ運動の繰り返しによる体の負担といっこうに減らない水嵩で嫌気がさしていた頃に、父が甥っ子を抱いて窓辺から「ほら、○○(甥っ子の名前)がんばれーっていって」と私を見せていて、父に対し一瞬の怒りを抱いてしまった

しかし、「(がんばれーと思うほど)大変そうに見えるなら、母に預けて、自分が手伝いにこればいいだろ」とは甥っ子の前で叫べない

もう仕方ない、心を無にして、打ち水マシーンになるだけだと工程を繰り返し、コンクリートから広がったた水が家と田んぼの間にある公道アスファルトにしみこんだくらいでようやく水が20センチくらいの深さになった

もう汚れるのは仕方ないとビニールプールを抱きかかえ、栓から残った水がじょろじょろと芝生に落ちるのを眺めた

その後、飛んでいきそうにない場所ビニールプールを設置し、腰と右腕に相当量のダメージを感じつつ、なんとか片づけを終了した

最初空気を抜いて、ビニールプールから水を溢れさせてしま方法も考えられたが、またこプールを使うことを考えると空気入れが面倒でできなかった

その日の教訓は相当量の水は本当に重いということだった

マジで直径1メートルくらいの円状のプールでいい

かいプールは残った水の処理が大変すぎる

遠くの田んぼ用水路から水を送るのに電気式のポンプを使っているのをプール片づけた後でコンビニに行く際に見つけて、これがうちにもあったら楽だったのになと思った

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