2020-12-31

好きなシチュエーション伝統芸能

先日、ガス点検に来た作業員さんが夫のことを「ご主人」と言ったことについてガス会社クレームを入れるのなんのという話が盛り上がっていた。

根本問題として、夫妻と特に親しくもない第三者が(おそらく目の前に居る)夫妻の夫の方を指す適切な呼び方がない。

親しいなら「(下の名前)さん」、目の前に居ないなら「家の方」あたりだろうか? 「お連れ合い」は旅のボックスシートみかんを渡すくらいの距離感ならありだがガス点検は違う気がする。「お連れ様」は家に上がり込んで言うのはなんか変。

そもそもガス点検という状況を前提とすると夫婦とか家族であるかはどうでもよく、ガス契約契約者あるいは家の設備管理責任者と話したかったんだろう。そうだとしても責任者が夫であろうというのはアンコンシャス・バイアスというのは否めないか

もっと言うと発端の方は事実婚なので夫・妻として扱われることに好意的か否かも人によって違いがあろう。言われてみればガス点検で行った先にその家の人として男女が居た時に法律婚夫婦とは限らないよな。親子だったり兄弟だったり他人だったり色々する。

先入観を持って語りかけてはいけないんだな。

というのを枕として。

おそらく、今後相手属性類推して語りかけるのはタブーになるだろう。肩書き呼びも男女の呼びかけも。また、よほどの目的意識がなければカップルを男女の組み合わせに限定することもなくなるだろう。例えば店に二人組で来て欲しいなら男女ペア限定せず言えば良い。それらは多様性という観点から良いことだと思う。今まで顧みられていなかった人を救うことにも繋がる。

となると何が起きるか。自分が愛好する、付き合っていない男女が周りからそう見られていることに気付き相手意識し始めるというシチュエーションが発生しなくなる。

今まで各種フィクションで頻出していた――男女カップリングを取り扱う二次創作だと必ずといっていいほど見る――カップル席に案内される・カップルならおまけがつく甘味をすすめられる・モブに「素敵な彼女/彼氏/奥さん/旦那さんだね」「この商品彼女/彼氏/奥さん/旦那さんにどうだい」「お似合いのカップル/夫婦」と冷やかされる、あたりのことだ。そのイベント時に起こる心の揺れ動き、むきになって否定するのも心証いか? このままやりすごす? 外からカップルに見えるのか。でもまんざらでもない自分もいるぞ。カップル扱いされた相手の反応はどうだろう? 自分にとってこの人の存在って一体……! みたいな内省をも伴うやつ。そのイベント相手直視できずにぎこちなくなるのもよし。わーってなった後に落ち着きを取り戻しクール振る舞うもよし。混乱している時に相手にさっと助けられさらに惚れるもよし。恋心を自覚して堂々と振る舞うもよし。自覚してじんわり暖かくなるのもよし。これは好意じゃないと断じるもよし。動揺して千々に乱れる登場人物を見るのが好きなのだ登場人物感情はぐるんぐるんにかき回してこそ。無自覚カップルだと外部から力を加えないと自分の心に向き合わないから、これくらいフルスイングで揺さぶりかけるのは手っ取り早いんだろうね。便利なシチュエーションである

いやまあ、現実で発生しなくなるって言ったってもともとフィクション度高いシチュエーションだけれど。現実で「なかなか見ない」から「ありえない」になると心の距離もっと離れるというか、二次元限定イベントになるというか。

忠臣蔵仇討ちみたいに、過去には存在したらしいがこんにちでは見かけないイベントになるというか。

それもまた時代の流れ。

我々は先入観を持って相手に向き合ってはならず、また自分自身も外界の評価スタート地点に自分の心に向き合うのではなく自発的自分の心に向き合うことが求められているのだろう。

  • ✋(👁👅👁)🤚『そんなことより、「おちんちん」の恥ずかしくない対義語を早く決めてくれい』

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