Fラン私立大卒業後、しばらく資格職で働いたのちに、30歳目の前で東大理系院に潜り込んだ。
学部はド文系だったため、入試に受かるか不安だったが、あっさり受かった。
働いていて、こんなものが世界なのかと、人付き合い含めて嫌になっていた。
理系に関して憧れがあった。技術で人間は救われるんじゃないかと思った。
研究分野に関していえば、さらに絶望が深まった感があるんだけど。
まず、入学当初に期待していた数学や理論物理に関しては、少しガッカリだった。
東大の数学科や理論物理科(数理科学院)の研究を眺めたが、これらが直接世界をよくするイメージがイマイチわかなかった。
もちろん、カラビヤウだの、ヤンミルズだの、M理論だのはあまりわからなかったニワカで語っている。
しかし、代数幾何や数え上げ幾何やルベーグ関数解析、アインシュタイン方程式くらいは理解した。
もう少し勉強すれば深い感動はあったのかな?
一方で、予想していなかった分野では感動がたくさんあった。
情報幾何学、材料物性、光学、計算化学といった、実学のちょっと先の分野が大変面白いと思った。
数ヶ月ごとに、これまでの人類が刷新される成果がガンガン出てくる。
パワー半導体や、レアアース採掘、電池やエネルギー技術は、本当に2、3年でドンドン人類が根本的に変わる発明や実用化がガンガン出る。
このような分野を普通に理解できるようになったのは本当に楽しい。(別にこのくらいを楽しむ程度なら、東大行かなくても、youtubeで勉強とかでも最近ではいいのかもしれないけど正直)
こんなに東大生というのはチャンスがあるのだなと感動しっぱなしだったし。
いわゆる最先端というか、未来を変えうる技術を少しできるようにしたくらいの成果はできた。
また、この分野の研究や成果をどうやって作るのかの知見も得られた。
自分は、社会人に戻ったが、あの日々の経験は自分にとっては、「生きててよかった、世界は間違いなく変わる」ことを実感させてくれた。
技術が作る未来を見たいし、そこに、自分のようなブサイクで生きる価値のないキモい人間も生きていられる世界ができる気がするし、自分でも世界を作れると感じられるから。