2020-02-01

カロリーメイトポスターのどこが優れているか

このtogetterブコメポスターのよさがあまり理解されていないようなので、簡単説明する。

デザイナーによる”もうどうでもいい広告”ができるまでの解説があまりにつらい「なにを一番伝えたいですか?」「ぜんぶ」』

https://togetter.com/li/1462449

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1462449

まずポスター目的について。

商品が小さい」と言っている人がいるが、一目見ればわかる通り、これは商品のものではなく「消費者を主役」にしたポスターだ。

からキャッチコピー商品アピールではなく、「見せてやれ、底力」という応援メッセージになっている。

ていうか昭和じゃないんだから、たとえ新商品でも露骨商品説明アピールしません。

とっくの昔から広告ってもの商品自体じゃなくて、消費者にとってどういうバリューがあるかを伝えるものになっている。

カロリーメイト認知度だから出来ること」という意見もあったが、当たり前である

扱う商品によって宣伝手法が変わるのは、わかり切ったことじゃないだろうか。

ポスターの優れている点を説明すると、まず何よりも写真がすばらしい。

コンセプトを明快に表現した写真だ。

望遠で撮られた画面はそれだけで迫力があり、力強さが直感的に伝わってくる。

カロリーメイトデカデカと写っているよりも、風景のものに引きこまれる力がある。

雪が舞う寒空の下、という状況も、実際にうまく撮影するのはかなり苦労したはずだ。

女の子の顔だけしっかり抜かれているのも、相当粘ったことを感じさせる。

構図的には静かだが演出的にはダイナミックという、対照的ドラマチックな絵の中でカロリーメイトを手にしているから、見る側により強く訴求する。

対照的といえば補色の話がtogetterでされているが、もちろん「補色からいい」わけではなく、使い方が上手い。

若者向けからさらに「受験生」にターゲットを絞り、

その相性を「ブレザー・青春=紺色」と「カロリーメイト黄色」で組み合わせたアイディアシンプルでわかりやすい。

そして紺色の中にただ黄色を配置するのではなく、カロリーメイトを持った子のブレザーが少し「緑がかっている」工夫もいい。

紺一色(というか寒色でまとめた背景)のなかに暖かい黄色ゆっくり染み広がっていくような効果がある。(青と黄色を混ぜた色が緑)

補色を少しだけ馴染ませるこの工夫が、唸るほど上手い。

若い彼女がこれから世界を変えていく静かな強さを、見事に表現している。

また、このカロリーメイトCMに「THE BLUE HEARTS」の曲を持ってくるのも、ベタだが補色のコンセプトともぴったりハマっている。

ポスターの中に「ガンバレ!」という言葉が出てくるのもそのためだ。

写真で目を引いたあとの文章もよくできている。

最初の「底力」と最後の「ガンバレ!」で、ラ行の韻を踏んでいて、

「見せてやれ」の部分も、「でっかい声で言ってやる」との対応

前半は二行だった文が後半は一行になってリズムを作っており、このテンポアップがTHE BLUE HEARTS歌詞と曲を想起させるようになっている。

したことがないように思えるが、コピーはこうした細部の語感が大事である


ちらっと見ただけでもこれだけの完成度で、

トータルでよく考えられたいい広告だと思うよ。

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