はてなキーワード: 迷亭とは
打ち立てはありがたいな。蕎麦の延びたのと、人間の間が抜けたのは由来頼母(たのも)しくないもんだよ」と薬味をツユの中へ入れて無茶苦茶に搔き廻わす。「君そんなに山葵(わさび)を入れると辛(か)らいぜ」と主人は心配そうに注意した。「蕎麦はツユと山葵で食うもんだあね。君は蕎麦が嫌いなんだろう」「僕は饂飩(うどん)が好きだ」「饂飩は馬子(まご)が食うもんだ。蕎麦の味を解しない人ほど気の毒な事はない」といいながら杉箸(すぎばし)をむざと突き込んで出来るだけ多くの分量を二寸ばかりの高さにしゃくい上げた。「奥さん蕎麦を食うにも色々流儀がありますがね。初心の者に限って、むやみにツユを着けて、そうして口の内でくちゃくちゃ遣っていますね。あれじゃ蕎麦の味はないですよ。何でも、こう、一としゃくいに引っ掛けてね」といいつつ箸を上げると、長い奴が勢揃(せいぞろ)いをして一尺ばかり空中に釣るし上げられる。迷亭先生もう善(よ)かろうと思って下を見ると、まだ十二、三本の尾が蒸籠の底を離れないで簀垂(すだ)れの上に纏綿(てんめん)している。「こいつは長いな、どうです奥さん、この長さ加減は」とまた奥さんに相の手を要求する。奥さんは「長いもので御座いますね」とさも感心したらしい返事をする。
面白かった、一気に読めた
中学生の時読もうとしたら小難しくて断念したきり手を付けていなかった
それが罠で、「馬鹿馬鹿しいことを小難しく書いていることが面白い」んだな
多少分からない言葉が出てきても何が言いたいのか大筋が掴めれば良くて、そのくらいで読めばいいのだとやっと気付いた
堅苦しいんじゃなくて、気楽に読んでこその『猫』だったんだと
今も昔も人の考え方は全然変わっていなくて、鼻がデカいだの職業でマウント合戦だの人それぞれの死生観だの、面白い
それと迷亭のキャラがいいね、自分はアニメを見ないけど、非常に登場人物がアニメチックだと思った
教科書で昔読んだ『こころ』はすぐに本を買って読んだけど、それしか読んでなかった
そのせいか夏目漱石は「神経衰弱の人」という印象があって、猫を読んでイメージがガラッと変わった
当時は感銘を受けたんだけれど、今読むとこころの先生は相当「かあいい」。