2024-08-30

弱者男性の友人が居る

先日、友人とコメダの新作デザートを食べに行くことになったんだ。

待ち合わせは駅。先に着いて待っていると、待ち合わせ時間ギリギリになって友人が小走りでやってきた。

日照りの中を走って来きたのかグレーのシャツには黒い汗染みがびっしりと広がって見え、ベージュチノパンは皺が目立っていた。

友人は、俗にいう弱者男性だ。

40過ぎにも関わらず女性との恋愛経験がなく、おなかはでっぷりとして身なりに気を使うこともない。

そろそろ自分を省みた方がいいんじゃないか?と以前アドバイスしたことがある。

だが友人は「別にもういいよ、諦めてるから」といって聞く耳を持たなかった。

そんな友人と電車に乗ると幸い二人分の席が空いていて、俺たちは並んで座った。

次の駅に着くと妊婦さんらしきお腹の大きい女性が乗り込んできて、それを見た友人がさっと席を立った。

おおやるじゃん、と思っていると女性はお礼を言うこともなくムスッとした表情のまま友人が座っていた場所に腰を下ろした。

え?お礼の一言もないの?と思って女性を見ると視線に気づいたのかチッと舌打ちし、顔を逸らした。

まりの態度の悪さに正直腹が立ったが、友人を見ると全く怒っている様子はない。

その後電車を降りると「さっきの女性酷かったよな」とすぐに声をかけた。

だが友人は「そういうことを言うもんじゃないよ」と逆に俺を咎めてきた。

当然俺はすぐに反論した。「いやだって、どう見たって向こうの態度の方が悪いでしょ」と。

すると友人は朗々と語り出した。

だって荒んでいる時期っていうのはあるんだよ。俺だって、30過ぎの頃は彼女は居ないし安月給で金もないし人に誇れるようなことも何もなくて、正直荒んでた。

そういうときってさ、ほんとに周りが見えないんだ。人生が上手くいってないって思ったり、疲れたりしていると、周りに気を遣うのが本当に難しい。

こういうのって誰にでもあることだと思うし、少なくとも俺はそうだった。だから俺は相手に無碍にされたっていいかなって思うようにしてる。俺も一度通った道だからな。

からさ、きついことをされたときこそ優しくなろうよ。

友人は自分言葉説教臭いと思ったのか、最後には照れ臭そうに言った。

俺は友人の言葉ちょっと感動してしまった。

そして、これを機に友人を見る目が少し変わった。

というか本人には決して言えないけど心の底ではちょっと尊敬すらしていた。

弱さを優しさに変えられる人間を、俺は強いと思う。

はっきりいって友人は弱者男性だ。

素人童貞だし、デブチビで、年収は下手したら20代よりも低い。

それでも俺は、友人のことを強い人間だと思っている。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん