2024-02-21

建築アカウント」を見ていると暗い気持ちになる

Twitterを見ていたら,「〇〇という建物解体されてしまった。価値のある古い建物が保存されないのは悲しい。」と建築アカウント自分の住んでいる田舎が取り上げられていた。

彼は誰かを責めているわけでもないし,純粋に悲しんでいるのだろう。彼のフォロワー自治体に抗議をして…ということもないので,実生活には完全に無害だ。

それでも,彼と自分との間にある隔たりを感じて暗い気持ちになった。

別に田舎人間は「価値のある古い建物」を好きで壊しているわけではない。その建物が長い年月残ってきたということは,それなりの価値を感じていた。

でも,いろいろな事情で壊さざるを得なかった。維持費の問題かもしれないし,管理できる人がいなくなったからかもしれない。

彼がそれを悲しむのも,SNSに書き込むのも自由だ。

ただ,「文化つまみ食いをする立場で,よくそんなことを言えるな」と心の暗い部分で思う。

都市に住む彼は文化資本で圧倒的に有利な立場にいる。博物館美術館図書館が山のように整備されていて,いつでも旅に出て田舎に行ける。

かたや田舎では,県庁所在地博物館美術館市町村に小さな図書館があるだけ。自分が住んでいる場所から美術館まで行くには,自動車で2時間かかる。

田舎を出て別の田舎に旅をしようとすると,信じられないほどお金時間がかかる。

彼はそんな「文化的に恵まれない暮らし」が想像できない。彼はいろいろな田舎を訪れて,文化をつまんで食っていく。

しかしその文化が金のなさや人手のなさにギリギリで耐えながら成立していることを知らない。あるいは,知った上で目を背けている。

そしていざ文化が消えていくと,SNSに悲しみの気持ちを書き込む。「自分が支える」という気概は全くない。

極端な言い方をすれば,「田舎人間は,俺たち都会の人間というゲスト文化を見せるためのキャストだ」と田舎テーマパークのように思っている。

そうじゃない。田舎文化は,住んでいる人間が作り上げてきた,作り上げていくものだ。

SNSで悲しみの言葉を呟く彼に言いたい。

田舎に来てくれ。価値ある建物を,田舎文化を一緒に残そう。

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