会話の際に、相手の言葉を先回りして話す事を非難する記事を連続して目にしたが、私はあれを一方的に悪いふるまいとは感じない。
私が高校で演劇部に入っていた頃、部員たちのダベりが舞台についての話題になることが何度かあった。
その時はたいてい、部の中でも特に活躍していた先輩二人――主に役者でたまに脚本&演出もする男の先輩と、主に演出でたまに役者もする女の先輩が演劇論をぶつけあっていた。
その二人は口も早く、「だからああいう時の芝居の流れって、えーと――」などと相手が少し言葉を探すと、「○○?」と先回りして言い、それに言われた方は「そうそう○○。○○がお約束だから、それを雑に裏切るだけじゃ観客についてきてもらえなくて」とスムーズに話を再会できていた。話に先回りし言葉を奪っているが、むしろ意見をぶつけ合う相手への助け舟であり、二人の会話や知性は非常に格好良く見えた。
最近だと、実況者や配信者が人気だが、トーク上手が二人集まっている時ほど、会話の先回りが発生するし、それがいい効果を発揮している。その話題でメインに語ってる側が言葉を探すともう一方が適当な知識や言語化を先回りして提案し、それによって途切れず進む。もしその先回りした表現が外れていても、なぜその表現が不適なのかを明らかにすることで、本来言いたかったことのニュアンスが視聴者に伝わりやすくなったりする。
知識と言語力の高い人たちが、お互い相手の言葉を先回りすることで助け舟となりポンポンと話が進むシーンを人生で何度も体験してきたので、それは駄目だ、言葉を盗むな、と言われまくっていることに釈然としない。
まあ、根本的に言語センスがないのでズレた先回りしかしない人とか、知識のない分野の話題でも先回りしようとしてくる人がいたら迷惑だと思うが、そういう人とはあまり関わったことがない。
学習する機会を奪うし、お前の意見は聞くに値しないって印象を与えるからやね けどまぁ気持ちはわからんでもない 結論わかっていること・前提が間違っている話を最後まで聞くの...