2022-08-18

シャンプーとボディーシャンプー

これはまだ私が学生だった頃の話です。

自転車で転倒して怪我をしてしま救急車で運ばれました。命には別状なかったのですが、重症だったのでそのまま入院することになりました。その頃、私は実家を離れて独り暮らしをしており、自宅の近くの病院入院したのですが、入院生活のために必要な物を母が持ってきてくれました。下着や洗面用具などの日用品と、そしてシャンプーとボディーシャンプーでした。

幸い、思ったよりも早く回復し、すぐに日常生活問題ないレベルまで体調は戻りました。退院はまだ先だったのですが、特に不自由なく入院生活が送れるようになりました。ありがたいことに母は入院当日から全面的サポートしてくれていたのですが、特にサポート必要なくなった後でも片道2時間かけて毎日お見舞いに来てくれました。遠いからわざわざ来てくれなくても大丈夫なのに、母親というのは心配性なもんなんだな、と思っていた気がします。

その後、体調も十分回復し、たしか2週間ぐらいで退院できたと思います。母が持ってきてくれた日用品は自宅へと持ち帰り、シャンプーとボディーシャンプーもまだまだ残っていたのでそのまま自宅で使うことにしました。

実は実家にいた時も含め、今までは髪の毛はシャンプーで洗い、体は石鹸で洗っていたので、ボディーシャンプーを使うのは初めてだったのです。ボディーシャンプーって、ボディーって書いてあるから体を洗う物っぽいけど、同時にシャンプーでもあるから髪の毛も洗って良いのか、とあまり良く分からず少し悩みました。私は短髪だったのであまり髪の毛を気にしていなかったし、使い分けるのも面倒だったので、髪の毛もボディーの一部だとの謎理論を作り上げ、髪の毛から全身までボディーシャンプーで洗うことにしました。

その後、そのボディーシャンプーを使い切り、シャンプーけが残りました。ボディーは髪の毛の一部じゃないし、さすがにシャンプーでボディーを洗うのは無理があるよな、と観念してシャンプーを眺めた時に気付きました。母からシャンプーだと言われて受け取ったそれにはボディーシャンプーと書かれていたのです。母が持ってきてくれたのは、シャンプーとボディーシャンプーではなく、ボディーシャンプーとボディーシャンプーだったのです。シャンプーと間違えてボディーシャンプーを買う母を想像おかしく思いました。

でもその時に思い出しました。退院した後で聞いたのですが、お医者さんが母に伝えていたそうです。「残念ながら後遺症が残る可能性が高いです。本人がショックを受けるかもしれないのでできるだけ一緒にいてあげてください。」とのことでした。だから1日も欠かすことなくわざわざ片道2時間かけてお見舞いに来てくれていたのです。残念ながら後遺症は残ってしまいましたが、無事日常生活が送れています。そして母の看病のおかげで精神的にもショックを受けることもありませんでした。

シャンプーとボディーシャンプーがうまく区別できない母からまれた私もシャンプーとボディーシャンプー区別ができませんでした。そういう親子の絆と、母親の深い愛情を強く感じた体験でした。

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