自分は作家業をしている。有名作家や、なんらかの「有名人」の友人知人がそこそこいる。
別に有名人と繋がってても公表しないしいいことも悪いこともない。
売れてる友人に、匿名掲示板での誹謗中傷が酷すぎて病んでいると言われた。
興味本位で見に行ってみたら、本来作者のファンのスレだったものが、元ファンのアンチスレと化していた。
最近の作品の内容に失望したり、作者のSNSでの言動をウォッチしては逐一ボロカスに叩きまくっていた。
匿名掲示板だけじゃなく、SNSで作者名などで検索してもそういった作者や作品を否定する言葉はいくらでも出て来た。
それを読んで、妙に感心してしまった。
というのも、長年のつきあいである友人、いっしょにお互いの家に寝泊まりしあったり、旅行に行ったりするような
親友レベルの友人に対して、私ですら言語化できていなかったことを、アンチの彼らはきちんと正鵠を射て叩いていたからだ。
彼らはものすごい洞察力で、顔も知らない喋ったこともない作者の人物像を洗い出していた。
こういうところがダメ、こういう性格だから次にこう出る、あのツイートは絶対明日までに消えている。すべてその通りだった。
なるほどな、すごい、本当にその通り。わかるわかる。友人本人は相当傷ついただろう。その通りすぎるから。
知人が私怨で書き込んでいるのもあるだろうが、SNS等の一般読者とわかる人のアンチ感想も、びっくりするほど真に迫った正確な指摘が多くあった。
興味本位で、プライベートまで知っている友人知人が他に匿名掲示板やSNSで叩かれてないか調べた。
すると、ものすごくズレたアンチも多くいるのだが、やはり同様に「なんでそんなことまでわかるんだ」というゾッとするほどの正確さで作者を叩いてる人がたくさんいた。
元々は愛を持って読んでいた読者がアンチに転身したら、愛と憎しみの反転によってここまで人間を見る解像度が上がるのかと感動まで覚えた。
私はアンチがいるほど売れてないので今のところノーダメージだ。けど、もしこんな人間たちに誹謗中傷されたら本当に立ち直れないだろうなと思った。