目を覚ますと先ほどまでの悪夢が思い出される。テイクアウトした寿司と少量の酒に酔ってソファで寝たせいではないだろうが、少なくともエアコンで乾燥した口の中は気持ちが悪かった。
トイレで用を足してから洗面台のうがい薬を口に含んだ。そのあとコップ一杯の水を飲み、ソファではなく自分のベッドへと移動した。横に妻がスヤスヤと寝ている。
もう結婚して13年も経つ。子どもは2人も授かり、いずれも小学生にまでなった。小学生になると妻との関係も疎遠になるものだ。手も繋がないし、もちろんキスもしない。これが世の中で普通でないのだろうけども、我が家ではそんな感じだ。
妻に特段不満もないし、よくやってくれていると思う。私の理解者とは到底呼べないが、家事、育児、私の両親や祖母の面倒を見てくれていて、最近では経営する小さな会社の経理までしてくれている。そういう意味ではとってもありがたい。
しかし、私は女性として彼女を望むことはない。人よりも性欲がないのかもしれない。外で別の女性を積極的に望むことも最近ではほとんど皆無だ。なので、彼女を女性と見ない事の言い訳にしているだろう。
そろそろ、午前2時だ。明日のためにも寝ようと思うが、前日の朝はゴルフのため早かった事から、眠気はさしてなかった。
改めて隣の妻の顔を見る。普段では全く気にならないのに、今日はとても愛おしく見えてくる。そう、さっきの夢のせいだ。とんでもなく心拍数も上がっている。右手で左胸に手を当てるがあまり感じることはなく、左手の動脈を探ると明らかに緊張による早い脈を感じる。予想通りだ。
これからここに書くことはフィクションであり、少し支離滅裂かもしれない。しかし、今晩、私が見た夢そのものでその点においては事実そのものだ。