「うきは皆 落ち穂還らぬ むつきかな」
これは幌生家の足軽大将、凹田米国衛門が直参の部下限定で開催した連歌会で詠んだ歌である。
非公開といえども彼は非常に多くの部下を抱え、その中には「草」も混じっていた(むしろ大草原は凹田家の常だった)から
その内容はあっさりと漏れ、武威ノ本で話題を呼ぶことになった。
季節や農業を詠んでいる歌に見せかけて、主家への不満を漏らしたと受け取られたのである。
知らせを聞いた中にはあの楠永玉秀の悪夢が脳裏をよぎった者もいたという。
出世頭の発言に、かたちの上では非公開とはいえ、幌生家中には動揺が広がっていた。
野次馬の中には、このような事態になった背景には、幌生家の家風があると指摘する軍配者もいた。
いまや武威ノ本最大の威勢を誇る幌生家が勢力を急速に拡張したのは、家臣同士を競わせる方針が寄与している。
その方針の厳しさは一時期などは目標以上に石高を伸ばせなかった家臣の人相書きを辻に張り出して屈辱を与えていたほどのものだ。
ゆえに武将たちは切磋琢磨し、兵たちも大将に恥をかかせないため必死に働いた。
それをいちおうプラスの側面とすれば、マイナスの側面として幌生家の家臣同士が出し抜くべきライバルに近い関係になってしまい、
お互いに支え合うことが難しくなる点があげられる。
それでも古参であり同じ戦場をいくつもくぐり抜けた戦友の関係ならまだ助け合うこともできるようが、
途中参加の家臣にとっては、いくら成果をあげていても、心細く不満を溜め込みやすい家風といえる。
もちろん、その家臣による性格の影響も大きい。
凹田米国衛門が相談できる相手としては同時期に幌生家に仕え始めた藍水軍の船大将、藍玉鈴が挙げられるが、
相談できる相手が極少数では相談して頼みの綱を失う恐怖もあり、ガス抜きも簡単ではない。
幌生家が厳しい負担に見合った厚遇を与えているつもりでも、傭兵上がりで経験豊富な武将の多い家臣たちがどう受け取るかはわからない。
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