元GIの黒人5人がベトナムに戦友の骨と金塊を掘り出しに行く話。
元GIたちは回想シーンでも今の俳優がそのまま演じてるのがおもしろいアプローチだなと思った。
音楽の使い方、過去の実在の人物や事件の挿入の方法もユニークで良かった。
メインキャラのポールはPTSDで感情のコントロールが効かず自他共に認めるクソ野郎なんだけど、
こいつ自身こそがベトナム人に対する差別丸出しで、でもその矛盾みたいなものを自分で感じてるわけでもない。
俺は壊れてる、だからしょうがないと開き直って、息子は愛してないと言い切るくせに、最後になって息子に愛してたみたいなことをぬかす。
いやいやお前40年現実的に愛してなかったくせに、愛してるよなんて言葉一つでcompensateできると思ってんのかよ。
ノーマンに依存してたくせに、俺の金は俺の金だとか言い張って仲間に牙を剥く。クソ中のクソだ。
ポールは自分たちは黒人だから、不当に虐げられて、差別されてきたという。一方で、ベトナム人に差別心を剥き出しにすることにはなんとも思ってない。
アジア人としてはむかつくが、ポールの理屈はなんかわからなくもない。
俺は国のために戦って、マッチョな男で、フィジカリーにはヒエラルキーの上にいるはずなのに、肌の色で得られるものが得られなかった。だから差別に対して怒る権利がある。
ベトナム人との関係だとそもそもなんらかの権利を主張する立場でもないし白対黒みたいなところにいないから関係なし。罵倒するけどそれはなんかの社会的な権利を剥奪してるわけじゃない、ただの嫌がらせでおれはクソ野郎だからほっといてくれ。
わからなくもないが、そう言われると白人でも黒人でもない人間は一体どんな気持ちで連帯すればいいのかよくわからなくなる。
いろんな立場の人間が出てきてそれぞれの言い分が述べられるので退屈しなくてよかった。フランス人は二人ともステロタイプだなーという感じがちょっと玉に瑕だけどまあ。