いまの世はとんでもない不景気で、まったくひどいもんだよな。
めちゃくちゃな勢いで成長はしてるんだよな。
あれこれ技術革新とかがあって、社会の資産が溜まってってっさ。
調べてみたら、いまでもこの国は、毎年3.25%も金持ちになってってるらしいよ。
これがずっと続けば、まちがいなく社会はもっともっと豊かになっていくでしょ。
技術革新によって機械がいろんな人を失業させるだろうけど実際、そこまで心配する必要ないよな。
だって、ぜんぶの労働が機械に置き換えられたら誰も働く必要はなくなって、
いま人類が抱えてる経済のあらゆる問題は、まるっと解決されちゃうんだからさ。
で、そうなったとき、暇になった人類はいったい何をするんだろうな?
いまは勤勉が良いこととされてるから、ほとんどの人は暇と自由に耐えられなくて地獄なんじゃないか。
ごくわずかに残った仕事を細切れにしてみんなで配って、なんとか労働を続けようとするかもしれないな。
でもさ、働く必要がなくなったら世の中の道徳や倫理観も変わって、
これまでの「金持ちが偉い、みんな金持ちを目指すべき」って価値観は、間違いなく否定されていく。
そういった考え方は、社会が豊かになるまでの一時的な方便でしかないんだもん。
そうなると、「本当の生き方を知ってる奴」だけが、人生を真に生きることができるだろうな。
社会が十分に豊かになりゃ、みんなから尊敬されるのは「他人の価値観に踊らされず、本当に自分の人生を生きられる人」になる。
でも、そういう生き方を実践できるのは今のところ、才能がある限られた人だけだよな、歌がめっちゃ歌える人とかさ。
まぁこんな話、実現するのは100年以上先だろうけどさ。
でも、世の中がそうなるのはわかりきってるんだから、俺たちはあんまり経済問題でくよくよ悩まず、
歯のことは歯医者さんに任せるみたいに、経済問題は経済の専門家に任せちゃってさ。
俺たちは、自分の人生を最高に楽しむための準備をしたほうが、いいんじゃないかな。
ジョン・メイナード・ケインズ (1883 - 1946)
Economic Possibilities for our Grandchildren (1930)