青少年時代。絶対的な、神のような存在がいたならば、縋りたくなるのかもしれない。
それとも単に流されていただけかもしれない。
逃げ出すことをしなければ、洗脳され、崇拝し、盲目的になり、排他的になる。そうしてますます絶対感が増し、信仰心が高まる。
私は神のことを信じられず、けれどとある理由から逃げることも出来なかったので、そのコミュニティに身を寄せていた。
神からは集中攻撃に遭い、背後からは信者に刺される。そんな日々だった。
結果という形で力を持っていた私は立場が低いわけではなかったので、一人で異分子派として居座っていたけれど。
むしろ表面上は私と同じように振る舞う人間が多かったように思う。肩身が狭い中、彼らは仲間だとは思っていた。
一度、事件が起きた。
実に晴れやかな気分だった。荒れた土地の整理は面倒だなあと思ったけれど。
裏腹に、困ったのは信者たちだ。
流されるままに生きてきた彼らは、憐れな程に狼狽え、悲しんだ。
やがて、神を戻すべきだと立ち上がった。
そう。真の異分子は私だけだったのだ。
これには裏切られた悲しみよりも、面白さの方がやって来た。
まず初めに鎖国して、国交を断裂した。卒業まで半年の頃だった。
ニセモノの異分子たちは、正式に神の信者になる者と、異分子ですが?という顔をしてこちら側に来た者に別れた。
私は卒業してから一度だけ礼儀として挨拶に来たが、それ以降そのコミュニティに顔を出すことをしなかった。
信者や、ニセモノの異分子たちは、仲睦まじく傷を舐め合うような関係を保っていたようだけれど。
解放されて少しして、神が死んだと連絡が来た。
重大なそのニュースは、後輩である信者の、恋人から知らされた。
どうでもいいと思って聞き流した。
けれど、少しだけ連絡のとっていた信者に確認したところ、連絡が来ていないというのだ。
信者の後輩が私の友人でなければ、私も知ることは無かっただろう。
使える僅かなツテで、各地に散っている信者に連絡をしろと伝えた。
お前たちの神なのだから、最期は見届けるべきだ。私は見届けないけれど、役目を果たしたのだから十分だろう。
もう奇跡の復活はない。
何も出来ない愚かな信者だけを残して。