「女にはどうせ本物のエンタメなんてわからない。劇場でキャーキャー若手を甘やかす女がお笑いを腐らせた」
そう言った彼は、芸人の家に知らない人間が忍び込む企画の無断転載をリツイートしていた。劇場は女ばかりだから実際に行ったことはないそうだ。
「最近はアニメの女の子の絵が市役所のポスターに描かれててねぇ。公共の場に貼るには品がないと思うのよ」
地元のおばさんは世間話ついでに昼ドラを勧めてくる。こじれた人間関係と、お気に入りの俳優のセクシーシーンを昼間から見られる所が楽しいのだと言う。
彼らは自分の発言と行動に違和感はないのだろう。むしろ精神状態はすこぶる良好だ。自己を省みないということは、精神衛生上の最適解と言ってもいい。
しかしたとえ自分が苦しくなるとしても、ある程度の客観的な自己分析は必要だと思う。気付かぬうちに、自分が棚上げばかりの醜悪な存在になりたくないのなら。
私はそういった教訓を胸にTwitterを開いた。タイムラインでは流行の女性向けコンテンツのファン同士が言い争っていた。
『最近の女性向け界隈、二次創作のハードルが低くなったのもあるけど民度ヤバない???個人サイト時代はみんなネットマナー読んでたし、そもそもネットできる層が限られてたから民度も』
私はそこまで書き、少し考えて下書きを削除した。
「最近はアニメの女の子の絵が市役所のポスターに描かれててねぇ。公共の場に貼るには品がないと思うのよ」 地元のおばさんは世間話ついでに昼ドラを勧めてくる。こじれた人間...