人が他人の体を気軽に触っているシーンを目にすることが、目の前でもテレビの中の出来事でも、この数年でかなりの苦痛になった。こんな嫌悪感、別人の感覚のようだと、自分の感情だなんて信じられない心地もある。
わたしはかつて触る人間だった。販売員という仕事をしていて、職場は女性しかいなくて、コミュニケーションのつもりで同僚の体を触る、セクハラを働く人間だった。当時のことは、本当に反省している。当時の同僚に責められたら、謝罪を尽くすしかないと思っている。
当時はわたし自身が、触られることに抵抗が少なかった。特に、異性に触れてもらえることは女性として魅力があると認められていると感じていた。(痴漢にはその頃から気持ち悪さを感じてはいた。わたしなりの線引きがあった。)
販売員の仕事を辞め、大きな会社で営業の職についた。その会社は、コンプライアンスが比較的整っていたことと、同僚たちのその辺の意識がしっかりしていたこと、特に、40代男性Sさんは、徹底した気遣いで、例えば女性が落としたものを渡す時でも肩を叩くことはなく、視界に入る位置へそっと回り、声をかけるという、意識的に触らない人だったことが、わたしの感覚を叩き直してくれた。
たとえ毎日一緒にいる間柄でも、必要なければ体に触れるべきではないのだ。意識的に他人の体に触れるべき機会なんてものは、(仕事にもよるけど)日常生活でそんなにない。それくらい、他人の体に触れることには、意味や与える影響が大きく、慎重であるべきだった。
人に気安く触るべきじゃない、というマナーを知ってから、電車で必要以上に近く立つ人にも、人混みの中、すれ違いざまに他人の鞄を撫でていく人にも、テレビの中で、筋肉すごーい!と言いながら男性の体を触る人にも、その触る先が女性の豊かな胸に変わった場合でも、うわぁ、見たくなかった…という気持ちになるようになった。
不思議だ。触り触られることを受け入れてきたのに、こんなにも感覚は変わるものだろうか。(結婚をした、というのもあるかもしれない。今は他人に性的異性として意識されることにすら嫌悪感がある。)
人に害を与えないという点で、多少はましな人間になれつつあると信じたいのと、かつてのわたしみたいな人は、早く触られてる人の不快感に気付いてさっさとやめてほしい。あとテレビでバラエティであっても他人に気安く触るの控えてほしい。
コンプライアンスって「揉め事おこさんために保守的にはしる」ってのだからな。 人それぞれ、場所それぞれ。どっちが悪いってものじゃないが、どちらも押し付けるものじゃない。 職...