所詮趣味なのでみんなそこまで熱心にやってなかったし、あくまで身内のヌルいノリ。
それでも年に何回か発表する機会もあったりして、そこそこ楽しくやらせてもらっていた。
自分から門戸を叩いてくれる人なんてあまりいないし、こっちとしても賑やかになるなら大歓迎だった。
最初のうちは「ちょっと気合が入りすぎているかな~?」程度にしか思っていなかった。
自分含めて誰しも最初はそうだったし、だんだん肩の力が抜けていくだろうと楽観視していた。
まじめ君がサークルを仕切るようになったのだ。古参メンバーは「やる気があるならいいんじゃない」とさせるがまま。
ダラダラした駄弁りの場は会議に変わり、議事録が作られるようになった。
適当そのものだったスケジュールは厳密に管理されるようになり、細かな締め切りが設定されるようになった。
今振り返ると彼はビジネスのつもりでやっていたんだと思う。PDCAサイクルとか言ってたし。
私生活で優秀なビジネスマンであるところの彼は、趣味の場もビジネスの延長線上として捉えていたんだろう。
自分はサークルの中心に近いポジションにいたので、まじめ君に指示を求められる事が多かった。
(彼は新参者だったのでそこまでの決定力はなかった。あとは単に経験が浅くて知らない事も多かった)
朝起きてスマホを見ると山のような通知。その全てに返事をしないとどんどん増えていく。
彼のおかげで成果は上がったし、サークルとしては成長も出来たのだと思う。
他のサークルの人から彼の管理能力を羨ましがられる事もあった。おたくで引き取ってくれと思ったが口には出せなかった。
自分はというと、次第にサークルから足が遠のき、ある時期を境に一切の連絡を絶ったまま現在に至っている。
あの後サークルがどうなったかも知らないし、知りたいとも思わない。