音楽と比べて面白さが絶対的でない(本能に直接訴えかけてくるような抗えなさがない)。
内容自体は独白が多くてキャラの内面が濃く描かれているけど、なまじっか簡単にモノローグを使えてしまう分、それに甘えているのか描写の絞り込みが甘いものが多い印象。
全体として若干間延び気味だ。
何ていうか省エネな娯楽に感じる。
小説を読むと想像力が鍛えられるというが、そんな事はないように思う。
大体の事は直接喋ってくれる。
漫画や映像においてはカメラワーク等がときに大きな意味を持ち、それを読み解くには慣れや知識が必要となる。
だけど小説の内容を読むのに難しさを感じる時は、出て来る言葉の意味をまだ知らない場合ばかりで、それらは辞書を使えば(最近の電子書籍はソフトに辞書がついていて、わからない部分をドラッグすれば意味を教えてくれたりするので便利だ)すぐに分かってしまう。読む前に知識や経験を必要とはしない。
小説がノーベル賞などの対象に選ばれるほどに特別高尚な物だとは自分には思えないし、単純に読んでいてそこまで楽しいものだとは思えない。
ただし、まだ世の中の人々が簡単にドラマや漫画なんて作り出せなかった時代に作られた古典作品に関しては、新雪に向かってまっすぐ振り下ろされた一足のような、素直で高潔な読み応えを感じる。