2017-07-30

タバコベンツオブドラゴン

A:タバコ、いいですか?

B:あそこにベンツがあります

A:え?

B:あなたタバコを吸ってなかったら

  なっ

しかベンツはあった。

しかし、その後方の、夕暮れ時の空からこちらに向かって飛んでくる異形の生き物のほうがよほど二人の目を引いた。

ドラゴン

神話漫画ゲームの中でしか存在してしていない生物だと思っていた。その、伝説上の生き物がオレンジ色の陽を背負いながらこちらに向かって飛んできている。

ドラゴンはズ…シン!という地響きとともに着地し、その雄々しき体と翼を広げベンツ舐めるように観察し始めた。黒々とした鱗がびっちりと体中に付いている。ベンツの二台分はあろうかという大きな翼。ひび割れアスファルトからは何かの汁が滴っている。…汁?

ドラゴン身体は全体的に爪やら尻尾やらが刺々しいが、腹のあたりからぬるっとしたなにかが出てきている。

陰茎だ。明らかに勃起している。人間の全身よりでかいんじゃないか。股の根本から特出したそれは我慢汁と言ってよいのか、先端から壊れた水道管のようにどくどくと透明の液体が流れている。

観察し終えたドラゴンは両腕で力強く、しかし優しく、後ろからベンツを掴み、そして…犯し始めた。

いきり立ったドラゴンペニスベンツの4本出しマフラーのどの穴に向かうこともなく双方の真ん中あたりをぶちぬきフロントガラスまで届くんじゃないかという勢いでベンツに挿入された。そこからはもうピストンピストンピストン、もはやただの鉄クズと化したベンツだったものにひたすら己の黒棒を前後運動させている。異形の表情から恍惚とした感情が見て取れる。

俺達はその、異種族交通事故を起こす羽目になってしまったベンツを見つめることしかできなかった。

ドラゴンペニスは動きの勢いを増していた。ああ、これは正に果てんとする感じだなと俺は思った。

B:タバコ、いいですか?

A:…どうぞ

ライターも借りた。何年ぶりだろう。しびれるような一服。染み渡る。うまい

ドラゴンベンツ射精している。

ダム決壊たかのように凄まじい勢いの精液がベンツをぶち壊した。

既に夜の気配を感じる夕焼けを背景に、飛び散るバンパーハンドルフロントガラス片、精液。

俺はその非現実的風景に煙を吹きかけながら、射精した。

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