大学の寮に入れてもらっているおかげで、本来なら数万円かかるだろう家賃はかなり浮いている。
食事は業務用食品をどさっとまとめ買いして、調理したりしなかったり。
それでも、生活に必要なお金の分を差し引くと、私が自由に使って遊べるお金は大して残らない。
バイトはしているけれど、やっと始められたばかりだし、このお金も自動車免許を取るために貯金。
正直自分でもそう思う。
うちが特別貧乏とかそういうわけじゃないけど(少なくとも私は標準的な家庭だと思っている)、かけなくていい迷惑はかけたくないから。
だからどうということもないし、こういうふうに生まれてきたわけだから誰を責める必要もない。
でもそれも結構揺らぐことがある。
人と比べるものでもないけど、ある友人は、私の奨学金と同じ金額のお小遣いをもらって、仕送りもしてもらって、毎月のようにちょっと遠くへ旅行して、美味しいものを食べて、欲しいものを買っている。
よくその子に「遊びにいこう」と誘われるけど、だいたい「金欠だから」と断る。
そうしたら、ついに「金欠金欠って、逆にどこにお金使ってるの?」と聞かれてしまった。
家賃とか光熱費とかネット代とか食費とかだよ、とは言わなかったけど、ものすごーくもやもやした。
そりゃあ私だってあなたみたいに遊びたい。もうめっちゃ遊びたい。贅沢したい。
あのワンピース可愛かったし、イヤリングだって欲しい。あの本を買いたい。隣町の有名なチーズケーキも食べたいし、普段からお菓子も家に置いておきたい。
「かじれるうちに親の脛かじっときな」と父は言ったけど、ちょっと大きな事件が起きてそんなことが出来る状態じゃなくなってしまったし。
贅沢したい。もうすぐ誕生日だし。贅沢したい。