私は昔から派手好きではないし、友達の数も少ない。集団で動くのも得意ではない。休日は基本的に一人で家や近所のカフェ、本屋、図書館で好きなことをして過ごす。
そんな私が恐れていたことの一つに、長期休み明けの「この長い休みの間何してた?」報告会がある。夏休みとかの長期休みの後、久しぶりに友人に会うとほぼ必ず、何してたか聞かれる。
この質問をされる時、私はひどい緊張と恐怖に襲われていた。穴があったら入りたい状態である。たいてい私は長期休みに何か特別なことはしない。ひたすらぐうたらしたり、読みたかった本を読んだり、見たかったDVDを見たりして過ごす。だからこの質問に素直に答えるのなら、「本を読んだり、DVD見たり、好きなことをしてのんびりしてたよ」というべきなのだが、私はどうしてもこうは言いたくなかった。
なぜなら、この答えを聞いた友人が抱く感想はきっと、「え、つまらない」だろうと思うからだ。せっかくの長期休みをどこへも行かず、家で過ごすつまらない人間と認定されるのがなんだか怖かった。
けど、もうそんなこと気にしない。
仮に、「友達とワイワイ!ヨーロッパ一週間の旅」と「すべてがフリープラン!お家で過ごす一週間」を選べるとしたら私は後者を選ぶ。
前者を選ぶ人には私は外に出たがらないつまらない人と映るかもしれない。けど、別に良い。だって、友達と一週間ヨーロッパに行ったって、私にはストレスにしかならないと思う。友達との旅行は、きっと楽しいだろう。でも、これまで後者を選んで生きてきた私は、前者の選択は精神面、体力面で私に大きな負担になりうることを知っている。というか、それがわかってきた。
「休みの間何してた?報告会」を恐れていた私は、「世の中における長期休みの理想的な過ごし方」は、「家族や友人とどこかへ遠出することや、何か特別感があることをする」ことだと信じ切っていた。だから、その理想形から大きくはずれた過ごし方をする自分をひどく恥じていた。
でも、世の中には人それぞれの理想がある。それぞれの幸せがある。自分の家庭を持つことが最大の幸せの人もいれば、趣味や仕事に精を出し独身でいることが最大の幸せである人もいる。夏休みに旅行したりすることが幸せの人も、家でゴロゴロすることが幸せの人もいる。