2014-03-25

三四郎」以降、東大生活を描いた小説がない

今更ながら、夏目漱石の「三四郎」を読んでみた。

私見だが、夏目漱石三四郎文壇で評価され、「日本近代文学の祖」になった理由は、案外単純な理由な気がする。

三四郎に描かれてる帝国大学学生模様が、文壇主流派にとって『インナーな話』で懐かしかった」から

小説本来の価値」以上に過大評価されたのではないか?

分かりやすく書くと、文壇大御所たちも東京帝国大学の出で、だから夏目漱石三四郎は「東京帝国大学物語」で、心地良かった。

それまで「東京帝国大学物語」を書いた作家はいなかったから、その意味では夏目漱石の目の付け所はシャープだった。

よく考えたら、東大生の日々を描いた小説って、「三四郎」以降、存在しないんじゃないか?

小説じゃなくマンガなら「東京大学物語」があるが・・・

東大生自身にも責任があるが、東大OBは、「三四郎」みたいなリアルな「東京大学物語」の小説化を怠ってきた、

から世間から余計に東大は誤解されてしまう。

一方で、ライバルである京大は、最近鴨川ホルモー」で登場したりしてるのが羨ましい。

実際、東大舞台小説は後森鴎外大江健三郎しかないようで、このままでは世間東大は「江川達也マンガ世界」と誤解しちゃう

※いや、東大の様子は、東大OBの「私の履歴書」を断片的に繋ぎ合わせれば、判るかな?

今の東大って、マジョリティ理系なんですよね。

三四郎時代東大は、あれはあれで趣きはあるが、工学系統が全く描かれてない点で今の東大とは別物。

今の東大の過半数は工学部なのはまり知られてない。

せいぜい生糸工業と綿紡工業しか日本になかった三四郎当時の東大工学部と、現代東大工学部で、「プレゼンス」が雲泥の差なのは当然。

・・・東大理系の日々実験な、「地味~」な日々を描写した小説って、ないのかな?

  • その他読書感想 ★「三四郎」の中に「明治15年以降生まれ」と「明治15年以前生まれ」が世代ギャップがあるような記載があり、脳内が「???」となった。  調べてみたら、明...

  • 東大は知らんけど、京大を舞台とした小説は結構あるぞ。鴨川ホルモーとか。

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