先日、ある人に「お前って、結局なにがしたいの?」と尋ねられた。決して悪い意味ではなく、純粋に興味本位の質問だったと思う。確か、テレビを観ながら就職のこと、仕事のことを話していたときだった。
僕はその問いに答えられなかった。一瞬、答えに窮してしまった。
答えは既に自分の中に持っていた。浪人のころから「何かを作る仕事に就きたい」と考え、大学では新聞部に入り新聞づくりに明け暮れた。それと並行して広告クリエイティブのセミナーに通ったし、出版に興味を持って女性誌なんかも読んだりした。「何かを作る仕事がしたい」。それが答えのはずだった。
それなのに、一瞬答えることができなかった。
たぶん、恐らくではあるけど、その時期が関係しているんだろうなと思う。
僕は一浪で大学に入学した。今は2年生の11月末。現役で大学に入学した友人は就活目前である。本来なら自分も就活を間近に控えてるはずだったのだから、彼らのことは他人事とは思えない。高校生の頃、一緒にバカ話をしていた奴らが「食品業界に行きたい」「銀行に」「商社に」なんて話しているのだ。違和感を覚えつつも将来について、卒業後の身の振り方には嫌でも考えさせられる。
だから「何か作る仕事がしたい」なんて言えなかった。ただでさえ「甘い」と評される自分なのに、そんな恥ずかしいことは言えない。
今一度自分に問おう。
何かを作る仕事って何?
具体的に何を?
媒体は?
何のために?
それを作るために何をしてきて、今何をしている?
こうやって自問自答するだけで、聞こえがいいだけの「何かを作りたい」はボロボロと崩れていく。大学入学のときから目標を持っていたはずだった。人より意識が(少しだけ)高いつもりだった。何か、自分が有能なクリエーターにでもなっていたつもりだった。
大学に入って2年が経とうとしている。これまでに自分は何を作ったのだろう。
自分が作ったと胸を張れるものは無い。組織としてではなく、自分の力で何かを作ろう、書こうと思ってもうすぐ一年が経とうとしている。何も生み出せないまま。
焦っている。とても焦っている。社会に出るのがとても怖い。