推薦をもらって受けた企業の最終選考でわざと落ちた。本当は素の自分を出して受けても落ちたかもしれないけど、
それで受かってしまったら大変なことになってしまうので、落ちるなら徹底的にやろうと頑張ることにした。
まずは小論文。全部白紙だと採用担当者から教授に話がいきそうなので、一文、二文書いて終わりにした。
「社会人に必要な資質」という題では、B5用紙一枚に「やる気が必要だと思います。」とだけ記入した。時間がとても余ったので次の面接のシミュレーションをしながらうつむいて寝た。
そして面接。ノックを二回してドアを開けたらすぐに「失礼しまーす」とひと言。大学名と名前をいったらすぐに座る。履歴書に書いてある通りの志望動機をどもりながら話した。「その理由なら○○社でもいいのでは」という質問には「あ、えっと、そうですねすいません。勉強不足でした」と返した。面接官の僕に対する印象ががくっと下がったのが目に見えて分かった。心の中でガッツポーズした。
「海外勤務への抵抗は」
「はい、えーっと、ないといったら嘘になりますね。本当はあまり海外へ出たくないです」
「学生時代に頑張ったことは」
「はい、僕はえっと、何事にも一生懸命取り組むことが出来ます。あと我慢強いです。はい、あ、以上です」
「いや、特にないです」
終わった。そして落ちた。ホッとした。
実は選考を受ける直前まで、わざと落ちようか真剣に受けようか迷っていた。
「何事にも一所懸命!本気で生きろ!」と心の中で修造が叫んでいた。いやちがう。
それはちがうだろ。周りに流されてなんとなくいい企業を受けて、近くに居る人を悲しませるなら、
この選考を一所懸命受ける必要はない。大切なことはなんだ。よく考えろ。大事なのは初任給ややりがいやプライドじゃない。