おいらは、地方のシステム屋。主に保守っぽいサービスをしている。
公官庁とか学校にまとめてパソコンを納めたり、修理に行ったりする。
スーツを作業着がわりにして、パソコンを運んだり、配線を接続したり、起動テストをしたり、ネットワークの接続を確認したりするのが主なお仕事だ。
職員用の玄関のインターホンから、教務主任の先生を呼び出してもらった。
最近の学校は、常時施錠されていて外部の人は、オートロックの鍵を開けてもらわないと入れないようになっている。
当然、防犯カメラも付いている。
暴漢が押し入って、生徒の命にかかわる事件が起きたのだから仕方がない。
昔は出入りの業者も「毎度!毎度!」って、気軽に営業に行けたのが信じられないくらいものものしい。
最近の学校はどこも空き教室がパソコンルームになっている。昔の視聴覚室のすごい版だ。
「インターネットを使うときは先生といっしょに使うこと!」とパソコン委員会の生徒が作ったポスターが何枚も貼られていた。
設置が終わり、テストをすることになり、パソコン担当の先生を呼び出してもらい、一斉に電源を入れることになった。
先生のパソコンから遠隔操作で生徒のパソコンのデスクトップを見たり、一斉に同じサイトを表示できるようになっているのだ。
Windowsなんて、ちょっと細工すれば、人のデスクトップが丸々見えるのであり、遠隔操作するための技術も織り込み済みだ。
知っている人にとってはどうでもいいことだし、勘のいい生徒は、先生がどのような状態で、教えているのかもわかるのだろう。
ちょっとふてくされた顔をしたジャージを着た30台の先生がやってきた。
この先生は、パソコン担当で、学校にある生徒用のパソコンと職員用のパソコンのメンテをしながら、副担任をしているようだった。
詳しくはわからないが、任期付きの臨時雇いのようだった。来年にはいなくなっているのだろう。
パソコン担当の先生は、しぶしぶ「わかりました」というような表情を見せた。
抵抗するパソコン担当の先生は、「わかりました。で悪いんですか。」というと、間髪いれずに教務主任が顔を近づけながら続けた。
「はいっ!よろこんでっと言え!はいっ!よろこんでだ。生徒の教育に悪いだろっ!」
こんなところまで、居酒屋の企業文化が浸透してきているのかと思うとそら恐ろしかった。
設置が終わり、テストをすることになり、パソコン担当の先生を呼び出してもらい、一斉に電源を入れることになった。 先生のパソコンから遠隔操作で生徒のパソコンのデスクトップ...