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2020-10-04

本物の果実酒が飲みたい

梅酒や杏(あんず)酒のような甘い果実酒が好きだ。でも本物の果実酒とは違う気がする。市販されているそれらの酒は、ほとんどが梅や杏をホワイトリカー(廃糖蜜を主原料とした焼酎)に漬けて製造したものだろう。果実甘味香りはするけれど、アルコールの味や香りホワイトリカー由来の物だ。それが果実酒として本物ではないと感じさせる。

しかし、ワインは赤でも白でも安物でも本物の果実酒だと感じる。それはアルコールブドウ由来だからだ。もしもブドウホワイトリカーに漬け込んで酒を造ったとしたら、それはワインともブドウ酒とも違うまがい物の酒となるだろう。しかし、漬け込む果実ブドウでなければ果実酒と認められるのだ。これはおかしいのではないか

酒の歴史人類発祥よりも古い。エチルアルコールブドウ糖の発酵で生成されるので、理論的には果物が腐らず発酵するだけで酒ができるのだ。よって文明や知性が酒造に必要とは必ずしも言えない。日本には猿酒という伝承があり、猿が木の洞(うろ)に果実を貯めて造った酒のことを言う。サルナシはその伝承から名付けられている。海外では伝承ではなく実際に動物が酒に酔う姿が観測されている。それも霊長類に限ったことではない。アフリカゾウがヤシ酒を飲んだり、ヘラジカ発酵したリンゴで酔ったりするそうだ。アフリカ大陸にはマルーラという糖度の高い果物があり、様々な野生動物がマルーラで酔っ払っている姿をYouTubeなどの動画サイトで見ることができる。

野生動物が様々な果実酒飲酒を堪能しているのに比べて、私の果実酒文化はなんと貧しいことだろうか。ホワイトリカーで作ったまがい物の果実酒我慢しているなんて。思うに、人類文明発祥とともに多様な果実酒文化を失ったのではなかろうか。

農耕と牧畜の発展により世界四大文明が生まれて、食糧供給コントロールする社会が生まれるとともに穀物由来の酒も発明された。その最初黄河文明黄酒であるコメやキビを原料とした酒で、紹興酒代表的黄酒である黄酒でも日本酒でもビールでも、ブドウ糖の無い穀物をわざわざ糖化させてまでしてアルコール醸造してきたのはその方がメリットがあるからだろう。果物ではなく穀物で酒を造る利点として、生産量・生産効率・保存性・主食への転用ざっと考えられる。

さら果実酒の衰退を加速化させたものとして蒸留発明が考えられる。蒸留技術アリストテレスが師プラトンから受け継いだ四元素説の応用からまれた。ちなみに蒸留熱力学理解不要であり、四元素説言葉を用いて以下のようにカッコよく説明することができる。

蒸留とは水(アクア)の形相(エイドス)【冷・湿】となって水中に溶解している酒精スピリタス)を、火(イグニス)の力で空気(エア)の形相(エイドス)【熱・湿】へ転換させて高純度の酒精スピリタス)を抽出することである

閑話休題蒸留技術シルクロードを通じて伝搬したことで、果実発酵させなくても蒸留酒に漬け込むだけで果実酒を造れるようになった。日本例外でない。倭寇時代焼酎が伝えられ、梅酒江戸時代誕生したと言われている。梅の焼酎漬けではなく、梅そのもの発酵させて醸造した事実はないかを調べてみたが、残念ながらわからなかった。そもそも、梅はブドウに比べて糖度がずっと低いので、アルコール発酵させるのは困難だろう。

日本ワイン以外の本物の果実酒はなかったのだろうか。そもそも国産ワインが登場したのは明治時代歴史が浅く、それ以前にワインが作られなかったのも不思議だ。ブドウ古事記で登場する程に歴史のある果物であり、黄泉平坂でイザナギ黄泉醜女に投げつけたという伝説がある。他に古事記で登場する果物に、柿・桃がある。どちらも糖度の高い果物アルコール発酵可能なはずだが、柿酒や桃酒などというものは見聞きしたことはない。そもそも歴史存在たかどうかもわからなかった。焼酎漬けではない柿酒や桃酒などという代物があればぜひ飲んでみたいものだ。

 
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