2023-03-30

思えば遠く

半休を1日休に変えた。

またひとつ歳を重ねるその前に、なにか行動を起こさなくてはと思い立ってのことだった。

オンラインチケットを予約して美術館へ行く。この間マッチングアプリで知り合った男性が指摘していた、「オンラインチケット制になってから、人はその日その時間、確実にそこをおとずれるようになったから、美術館なんかは混むようになった感覚をいだく」。

会場に着けば、開館前から並ぶ人。人。人。会期末であったことも災いしてだとは思うが、まさにその通りだなあと思った。

列をなして作品を観るのは好きでない。観るというより、観させられている感じがするからだ。

そういう時はいつも一番混んでいないエリアめがけて人の間をすり抜けては、順番を無視して鑑賞をする。構成なんてまるで無視学芸員泣かせかもしれない。

美術に限らず、世のあらゆる事柄において、わたしはこういう物の見方しかできないなとしみじみ思う。点々としているんだな。

観終えた後、たまに訪れるビル3階の喫茶店へ行った。

そこから山手線京浜東北線と、東海道線とその他もろもろの列車が発着するところを見ることができる。電車わたしにとって、時間象徴だ。こうしてぼんやり眺めているうち、またひとつ歳を重ねていくんだ。何十本もの電車を見送って、気づいたらどちらが風景になっているのかしれないね

外に出るとあんまりに天気が良くて、日光の眩しさから繰り返しくしゃみをした。

横断歩道をゆく向かいの知らない人に敬礼をするように、掌で日差しを遮りながら都会の道を行く。そのうち皇居に出た。3週間前にも同じ場所にいたな。。とかなんとか、唐突に思い出したかのような振り返り方をしたけども、意図的に来た。おセンチになりたかったのだ。

あの日は2人だった。ちょうど風はあの日と同じくらいに吹き付けていて、日陰では少し寒い

「ここから見えるどのビルが好き?」

そんな他愛のない話をしながら、ベンチに深く腰掛けていた。ビルもそうだが、反対側に夕暮れ沈むその先を眺めてもいた。綺麗な空だった。鼻水をかみながら雰囲気も何もあったもんじゃないが、わたしはこのまま、絡め取られてしまいたいなと思っていた。なにに。

いつも夜にしか会わない人と、はじめて日中に会った日だった。はじめてのデート皇居って、よくない。いつでもテレビに出てきて、その度思い出してしまうから

今日ここを訪れてしまったのも、ぐずぐずとした思いに同伴する形だ。わたしはそれを置いていきたいのか、持ち続けていたいのかも判断しかねている。来ればわかるかと思ったけれど、他人との思い出は、そう自分勝手には処理しきれないのだということがわかった。

次に彼と会うときに、話してみよう。

映画でも観て帰るかなとも考えたけれど、日が落ちる前に帰宅することにした。

友達から借りていた本をしっかり読み終えて、7時にはお風呂に入ってソファごろごろしている今。

真新しいことをしたわけではないが、穏やかな気持ちで終始いられたのは良かった。誰とも話していないから、明日はいささか声の出が悪そう。

ま。そんな明日お酒を飲んで、今日とは違う気持ちのよさを味わうことにしようっと。

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