はてなキーワード: 天一とは
そうだったのか。目黒店は特殊だったようだ。すまんかった。
飯田橋店では特に頼まなかったけどごく普通の量しか入ってなかったと思う。
高田馬場店はどうだったかな…
ンなこと言わんー。「絶対」とかくくらないでくれ。
>あのドロリとしたスープを、最後に飯を入れて食べるのがたまらなく美味い
俺はそのまま最後まで飲みきるのが美味いと思う。飯は飯。
二郎にしても天一にしても、他の「ラーメン」と同列に語るのはちょっとどうか…って気がする。よく言われるように、それぞれ「二郎」「天一」って食い物としてファンが愛すればよいんじゃないだろうか。
天一のあっさりなぞ、そこらのスーパー地下ラーメンコーナーにある醤油ラーメンにも劣る駄ーメン!
その兄にぜひ真実を告げるがいい。一週間こってりを食べ続ければ、最初は吐くほどイヤでも終わるころには天一バカが出来上がる、と思う。
…それでも嫌いなままかもしれない。まあ、その時は諦めよう。
しかしそもそも、あっさりなんて中途半端な代物を売ってる天一も悪い。
ヘタな妥協はよくないぜ!
今日は私は行きつけの天丼屋で夕食を済ませることにした。戸を開けるとしゅうしゅうという揚げ物の音と食器同士が触れる音が高らかに響いている。油の中に野菜やエビが入る時に立つ、細かい泡が浮かんでは消えていく鋭い音が食欲をそそる。もちろん匂いもだ。私はこの店の大将と知り合いなのでカウンター席に座り、揚げている大将に挨拶する。
「こんばんは」
「おっ久しぶりやね」
「いやいや」
「そう言えば外、かなり曇っとるよ。雨になるかもしれんね。曇り空……いわゆる天丼、だったかな」
「こりゃ失敬」
といった会話をしていると店の奥で大声が響いているのが聴こえた。二人の人物が立っている。一人はスーツをスマートに着こなした妙齢の女性。その身なりからすると俗に言う「キャリア」だろう。一方ではすっかり禿げ上がった、ポマードの匂いがしそうなよれよれのスーツに包まれて顔が真っ赤になったオヤジがいる。この二人の間でトラブルが起きたようだ。
「なんでおまえの天丼のエビは大きいんじゃ!? ワシを舐めとんのかこらぁ!!」
「やだ、ちょっと人の丼にきっちゃない箸つけんといてよ!! あんたセコいこと言わんといて!!」
「大将!! この店は客をえこひいきすんのか!? 美人にはごっつい海老天、ワシみたいな客には甘海老みたいな天ぷら乗せるんか!?」
「うわっ、酒くさっ!! おっちゃん酔うてるやろ!?」
その言葉どおりオヤジは酔っ払っているようで目が据わっている。全く天丼屋に酔っ払って入るなんて、内臓を潰すとしか思えない愚かしい行為だ。だが、今はそんなことはどうでもいい。私は二人の所に行って丼を見て、そして言った。
「どっちも同じ大きさやと思いますけど」
「ほら」キャリアが言う。「この人も言うてるやん。同じ大きさやって。甘海老って大袈裟な」
「お前、別嬪さんの肩持つんか!?」オヤジが私の胸倉を掴む。「どいつもこいつも舐めくさって!! 表に出んかい!!」
店の中で騒ぎを起こすと、テーブルや食器を破壊してしまうかもしれない。店の評判にも傷がつくだろう。私は意を決し、「ほな表に出よやないか」と言ってオヤジの腕を払った。険悪なムードが漂う。と、その時。外から陽気な歌が聞こえてきた。
てーんてーんどーんどーんてんどんどーん
「この歌は……まさか!!」
私たちはびっくりする。大将もびっくりする。扉を開けて入ってきたのは、予想通り「アンパンマン」で活躍する重要なバイプレイヤー、天丼マンだった!! 頭の丼からは湯気が立っている。揚げたての食材の匂いが周囲に広がる。
「話は全部聞かせてもらったよ」と天丼マンが言った。
「申し訳ありません、無様なところを……」
「ちょっと味見させてもらおうか」
そう言って天丼マンはオヤジの丼から海老天を取り、口に含んだ。あまりの素早さにオヤジも唖然としている。キャリアも唖然としている。私も唖然としている。店内の人間が全員唖然としている。
「うむ、腕を上げたね」
「恐れ入りやす。住み込みで修業させて頂いた時から今に至るまで、師匠の叱咤と励ましの言葉を胸に頑張っておりやす」
「君は多分関西で五指に入る天丼師になったね。精進を怠っていない。僕とはもう紙一重の腕前かな」
「そんな、勿体無い言葉を……」
「さて」と天丼マンは私たちに向かって言う。「確かにこの海老はその女の子の海老よりも小さいかもしれない。でも、どの天ぷらもその店の主人の心と、火傷したり手に傷を負ったりして長年修業して培ってきた賜物なんだ。それを忘れるのは良くないね。おじさん、海老天一本貰ったお礼にぼくの海老天をあげるよ」
「これで今回は手打ちにしないかい?」
キャリアが言う。「私も、大人気ないこと言うて、ごめんなさい」
「天ぷら好きの人間に、悪い人間なんていないよ。では、二人の仲直りも終わったようだし、ぼくはこれで失敬するよ」そして私の方を向いて言う。「君も間に入って止めてくれようとした勇気は大したものじゃないか。最近の若者には珍しいね」
「本物の天丼マンさんにお会い出来てこちらこそ光栄です。アンパンマンさんによろしくお伝え下さい」
「いやいや、またどっかの天丼屋で会おう」
天丼マンはそう言って扉を開けて外に出ようとして、足を止めて言った。「ありゃ、雨が降ってきてるね」
「さっきまでは曇り空だったのにね」と天丼マンは言った。「何て言うんたっけ。曇り空のこと……天丼?」
「まさに……天丼!!」