2024-10-25

うちの姉はギャルだ。

ギャルっていっても、まぁ今どきの清楚系とか地雷系とかじゃなくて、完全に昔ながらのガングロ系。

真っ黒に日焼けしてて、目の下には涙袋をこれでもかと強調するメイクをしてる。

そんな姉が最近彼氏にふられた。

しかも別れ話を持ちかけられたのが彼氏の家の前だったらしい。

からうちに帰ってきてから、怒りと悲しみのあまりリビングで大泣きしだした。

その泣き方が凄まじくて、涙でアイラインが滲んで顔がぐちゃぐちゃになりながらも、なおかつ涙袋だけは頑張って強調されているという、なんとも言えないカオス状態

その時、私の頭にふと浮かんだのがベヘリットだった。

あの不気味な形をした、泣いているか笑っているかからないような顔のアイテム

姉が泣いている顔が完全にそれだった。

なんだか神秘的ですらあって、思わず見入ってしまった。ギャル感情をむき出しにして泣き叫ぶ姿っていうのも、ある種の儀式に見えてしまうぐらいだった。

「もう絶対男なんて信じない!もう恋愛しない!」なんて叫びながら、部屋中にクッションを投げつけ、ティッシュの箱が吹っ飛んで、リビングちょっとした戦場になっていた。

見ているこっちとしては、どうしてもその光景ベヘリットに見えて仕方がなかった。

いや、たぶん姉が真剣に泣いているのは分かってるんだけど、涙袋が強調されすぎていて、涙がそこから滲んでくる度にどんどんベヘリット感が増していく。

こういったことも初めての事じゃない。

毎回、全力で恋愛して、そして派手に振られる。これまで付き合った男たちはみんな何らかの問題を抱えていて、姉はその度に今度こそ本物の愛!と信じて突っ込んでいくんだけど、結局裏切られて大泣きするのがいつものパターン

そんな姉を見ていると、「またベヘリット発動か…」って、私の中でいつの間にかそんなセリフが浮かぶようになってしまった。

姉にとっての恋愛は、常に危険な賭けであり、心のどこかでそれを楽しんでいるようにも見える。

彼女が次の男に夢中になっている姿を見るたびに、「またあのベヘリット顔を見る日が来るのかな」と思ってしまうのが、なんとも複雑な気持ちだ。

翌朝、姉はケロッとした顔で起きてきた。そして鏡の前でまた涙袋をしっかりと描き直して、派手なギャルメイクを完成させた。その姿を見て、私はなんだか笑ってしまった。まるで何事もなかったかのように、また「恋愛戦場」に出ていく準備をしているようだった。

「もう大丈夫?」と私が聞くと、姉は振り返ってニヤリと笑った。

「当たり前じゃん!泣いたのは昨日だけ。今日からは新しい人生スタートだし!」と、自信満々に言い放った。

この強さこそが姉の魅力なんだろう。私には真似できないけれど、何度振られても立ち上がる姉の姿には敬意を感じずにはいられない。

そんな姉を見て、私はまた思った。

ベヘリットは、ただのアイテムなんかじゃない。

姉の強さ、そのものなのかもしれない。

涙袋が再び強調された顔が、今度は勇敢に見えた。

姉は今日も、恋愛という名の戦場に出ていく。

そして、その姿を見ていると、私はなんだか勇気をもらえるんだ。

  • ベヘリットは、捨てたって捨てられないものらしい

  • ガングロギャル好きだから紹介して。おれに問題にある問題はジジイなこと。

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