2024-08-11

独身限界おじさんだが、趣味SF小説を原価割れ転売している

 非モテ独身友人付き合いなしの限界アラフィフおじさんだが、独り身なので金だけは余ってる

 とある夜ひとりでお酒を嗜んでいる際にふと、そんなことを思った

「あれ?俺って生きてる意味なくね?」

 子供は勿論のこと、振り返ると自分人生は何も残していない糞して寝るだけの物だった。

 他人に誇れるような事はSF趣味ぐらいで、学生の頃からSFを熟読してきた。

 10代で既に生粋SFオタクだった俺はセンス・オブ・ワンダー世界妄想を膨らませてきたものだ。

 自分に出来るのは、この素晴らしい世界をより広めることかもしれない。

 本来であれば酔っ払い妄言に過ぎないが、幸いにも一緒に飲みに行く友人はおらず、翌日でも妄想を覚えていた。

 実行に移すしかないとSFの神はそう俺に告げている。そう捉える事にした。

 俺は自分が好きだったSF小説、影響を受けたSF小説、名作であると思っているSF小説Amazonで次々に購入し、週末に近場で行われるフリーマーケットに申し込んだ。

 フリーマーケットを見に行ったことは当然あるものの出店側となるのは記憶に乏しい。

 緊張し、前日の夜などはドキドキしてなかなか眠れないほどだった。

 当日は幸いにも晴天で、俺は用意した思い出のSF小説たちを売りに出した。

 どの小説も一冊200円で、中には価値を知る人が見れば驚愕するような作品も混じっている。

 当然、儲けは度外視だ。そんなものはどうでもいい。

 俺は、良いSFをただ多くの人に読んでほしい、知ってほしいと思い、出店しているのだから

 思いの外よく売れた。

 自分にとって思い入れの深い作品が売れると非常に嬉しく、小学生ほどの男の子が「幼年期の終わり」を興味を示し、買っていったときには感慨深い思いになった。

 あのワクワクしている表情、子供の頃の自分を見ているような、そんな気がしたのかもしれない。

 その日の晩酌は、いつもと少し違って感じられた。気づけば自然と笑っているような。

 そんな心地の良い酩酊感があった。

 久しく忘れていた感情のような、暖かいものを感じられたんだ。

 俺はこれといって世に何かを遺すことは出来なかったかもしれないが、少しでもSFに恩返しをしたい。

 だから俺は、この活動を続けていこうと思っている。

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