知り合いのSNSアカウントがここ10年ぐらいでだいぶ品行方正になった。
昔は嫌儲とかオチとか色々やっていたのに今じゃ淫夢語録さえ避けるように気を使っているのが傍目にも分かる。
昔はネットでしか使わなかった言い回し、とりわけ発達障害や特定人種を馬鹿にするような物言いを現実で使うようになっていった。
ネットとリアル、少しでも安全な方を選んで下手をすれば訴えられるような表現を振り回す。
そういうずる賢さが私の友にはあったようだ。
だが同じような傾向は私の職場でもあるような気がする。
現実社会にふさわしい言葉づかいをすることを辞めて、ギリギリのラインを必死に探るような言い方を繰り返す人間が増えてきた。
ハラスメントの限界ラインを攻めることでそこに線引を作り出そうと必死になっているような言動が食堂や自販機前に溢れている。
そのかわりにチームチャットやLINEのメッセージはビジネスマナーに沿った小綺麗なものが増えてきた。
言い逃れの出来ない文字情報では借りてきた猫のように振る舞い、録音でもされない限りは消えてしまう言語情報では少しでも粗暴さを発散させようとしていく。
現実とネットの倫理観の逆転、個人が内包する暴力性の総量は変わらないままに、それが発露する場所だけが入れ替わっていく。
これが令和という時代らしい。