2023-07-10

岸田政権の狙いは株価の一段高

唐突ともいえる岸田政権運用立国宣言には、別の狙いもある。株価の一段の押し上げだ。骨太の方針には、海外投資家らに「資産運用立国」構想をアピールする「Japan Week」を開催するとも明記した。岸田政権は一連のイベントを10月初旬に開く方向で検討しており、運用立国構想の大枠を示して株高の流れを強めたい考えだ。既に高値圏にある相場が一段高となれば、それを成果に秋の解散総選挙可能性もでてくる。もっと資産運用業の改革民間主導でなければ進まない。税制で強力に推進できるNISA改革と異なり、資産運用の高度化に国が関与できる範囲は限られるからだ。

ところが、大手金融機関の一部首脳は「NISA拡充は100点満点中で120点だけども、資産運用立国構想はちょっとね」と決して前向きではない。国内金融不良債権問題が峠を越えたこの20年間、大きな再編がなく、経営状況も悪くない。ただでさえ保守的金融界にさらなる事業改革の機運は乏しく、摩擦が避けられない金融再々編に後ろ向きなままだ。運用会社の大規模再編の起爆剤として、日銀保有する上場投資信託ETF)の放出など一種の奇策も必要かもしれない。

株価世界的に既に高値

主要国の金融引き締めで遠からず調整局面がくると予想される。「シャドーバンク影の銀行)」には規制強化の流れもあり、岸田政権の「資産運用立国宣言賞味期限は長くない。国際金融センターとしての日本地位シンガポール香港に大きく差をつけられたまま。国内金融機関資産運用事業改革に後ろ向きなら、金融立国の好機はまたしても遠のくだろう。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん