2023-07-10

資産運用業高度化プログレスリポート

少額投資非課税制度(NISA)の拡充で「貯蓄から投資」の機運はある。ところがこのままでは国内金融空洞化を促すだけになりかねない。楽天証券調査では、直近の投資信託の買付金額ランキング首位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で、上位10ファンドのうち日本株に連動するのは2投信しかない。世界の成長を日本家計が取り込むという観点でみれば、海外投資は正しい。問題日本運用会社海外投信自力運営しているわけではなく、米欧金融機関に多くを委託していることにある。

国内勢が米欧運用会社に支払う委託費は巨額だ

国内大手運用9社の「委託調査費」は1125億円(22年3月期)と前年度比25%増え、9社合計の純利益(1040億円)を上回る規模になった。日本勢には海外株の高度な分析ノウハウが十分にはない。「貯蓄から投資へ」の流れが強まれば、国内運用部門空洞化も強まる皮肉な構図にある。遠い道のりにみえる「資産運用立国」だが、方法はあるのか。金融庁は4月に「資産運用業高度化プログレスリポート」を公表して、運用ビジネス問題点を指摘した。ただ、その提案資産運用会社トップへの親会社からの「天下り」の改善や、経理事務共通プラットフォームづくりなどにとどまり、とても資産運用立国には行き着かない。

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