くりっとした目で可愛いと評判の吉田花丸の唇から煙草の煙がたゆたう。
友達の花丸が喫煙後にゲボみたいな口臭をただよわせるのが好きだ。
私と花丸は幼馴染である。
そばにいてくれた、ちっちゃくて顔がいい友人を今も推している。
昔はきりっとした鋼のようなかっこいい意志が好きだった。
今は焦点が合わない目で恨みつらみを吐くようになった。
今は花丸ではなく、ちいかわが好きだ。
成績もよく運動神経もすぐれた花丸は芸術でも勉強でもスポーツでも賞状をもらっていた。
出来がいいくせに愛想が良くない花丸は同級生から恨まれ、いじめられていた。
花丸の束になった賞状の束を持ち帰る手伝いをしていた。
「ママから、たかだか数十枚の賞状をもらっただけで生きている価値がお前にあると思うなって言われてね。」
「怒鳴り声でキンキン響く頭で暖炉でメラメラ賞状を燃やすの。」
他の人には自分の話をしないちいかわが私だけに語ってくれて嬉しかった。私だけのちいかわ。
うわさで花丸の両親が厳しいことを知った。
花丸がリストカットを始めた頃だった。
なんでもできるくせに、なんでも知ってるくせに、自分のことだけ話せない。つらいよって、それだけ言えばいいのにね。
ぜ〜んぶきらいと一緒じゃん。気持ち悪い。
みぢめなやつ。
才能の頭の良さも運動神経も適応力もゴミ箱に捨てて、ファミレスのアルバイトをするちいかわ。
店長の家に入り浸っているんだってSNSで書いてあったよちいかわ。
今は煙草を暖炉代わりにして楽しい・明るい心と未来を自分で燃やすちいかわ。
なんて、みぢめなちいかわ。
みぢめなやつを見ていないと落ち着かない私ももみぢめなやつ。