2022-09-05

ミントテロリスト

8年前、下町引っ越して驚いた。狭いスペースの植え込みや家の前に植物を大量に育てる家だらけだった。

特に玄関前の道路脇スペースと街路樹の植え込みは、完全にその家の私有地だった。

公共のものはオレのもの

我が家ビルの三階だが、ビルの前の植え込みは隣の家のおばちゃんが世話する庭木スペースになっていた。

椿、薔薇いちじく、夏はひまわりかぼちゃなどが所狭しと植えられ、同時に雑草も勢いよく繁茂し、都内とは思えぬワイルドなガーデンだ。

私と夫は都会のジャングル空間結構好きで、帰宅する際にはどんな雑草がどれぐらい育っていたか、見たこともない謎の草が生えてきたら画像にとって調べたり、日々楽しんでいた。

区の管理シーズンごとに、雑草は刈られ丸坊主にされてしまうが、例年旺盛な生命力で春先から夏にかけてどこからともなく復帰する。

おばちゃんが我が物顔で植えたイチジクバラの成長を見守るのもワクワクだ。

一度たわわに実ったイチジクが、心なき夜盗被害によりすべて失われた際には、おばちゃんと怒りを分かち合ったものである

そんな平和ワイルドガーデンに、大事件が起きた。

街路樹以外の植木を、期日内に全て撤去する張り紙が貼られていたのだ。

おばちゃん管理していた超密スペースにも、例に漏れ張り紙が貼られ、私と夫は大きく育ったイチジクの木や見事な椿の木はどうなってしまうのだろうと、陰ながら心配した。

5月になると町内の街路樹の植え込みは、街路樹以外全てキレイ雑草ごと引き抜かれ、丸坊主にされてしまった。

あとに残ったのは、ひょろひょろしたヤマボウシのみだった。

しか雑草生命力はすさまじく、9月現在我が家の前にはどくだみノウゼンカズラが猛然と幅を利かせむくむくと育っている。

違法なのは十分に承知している。だが。しかし。

まったく釈然としない。

からジャングル創生に加担すべく。

町の人たちが狭いスペースを利用して緑を楽しむささやか幸せを奪った区に対して、猛然と抗議すべく。

7月の半ば、私はスペアミントレモンバームの種をネットで大量に買い、雑に全力投球スタイルでばらまいた。


そして今、雑草のみでジャングルとなった街路樹の植え込みには、レモンバームスペアミントが育ちつつある。

ま、これも立派な雑草だ。

いつ終わるとも知れぬ夏は未だ続いているので、粛々とミントが育つ雑草ジャングルを、これからも夫と日々見守り続けようと思う。

  • 中途半端な田舎に住んでたけど 街路樹の周囲は住民が好きにしてたし 基本的にそのままだった 毎年ペチュニアとか、カボチャとか生えてるよ。

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