2022-08-26

職場妖精がいた話

職場発達障害に潰されるの話を聞いて昔のことを思い出した。

もう十数年昔のことだが、まだ社会に出て数年という若造が欠員補充でその部署に赴いた。そこで隣のデスクだったのが妖精さんだった。勤務初日増田さんと仲良くなりたいから」と部内の若い人がランチに誘ってくれた。そこの人々はみんな親切で優しい人たちだったが、若い人に限らずどの人も「妖精さんの隣は気をつけて」と言う。

その部署にいたのは数ヶ月だが、妖精さん妖精さんである理由はよくわかった。まずお世辞にも衛生面が整っていなかった。その後食事の仕方も非常に厳しいものであることがわかった。初日ランチに誘われたのは食事風景を見せないための配慮であった。

また妖精さんデスクには仕事道具はあまり見られなかった。定時にやってきてコーヒーを飲みながら新聞を読み、最低限の業務をこなして昼飯を食い、午後はうとうとしながら最低限の業務をして定時に帰るという仕事ぶり。部内には他にもたくさんの仕事があったが「難しくて妖精さんには任せられない」と若手よりも圧倒的に少ない仕事量だった。

また妖精さんは非常に人見知りで数ヶ月という短い期間とこちらが年若かったせいで恥ずかしかったのか、話すことはおろか挨拶すらほぼなかった。ただ妖精さんの生態として「自分より見下せると判断したものはとことん攻撃してきたり余計な世話を焼いてくるから気をつけて」とアドバイスされていたので特に当たらず触らず、怪しい時は別の場所非難などした。

妖精さんの思い出で一番心に残っているのは、業務の一環で大規模な会場設営をしたときだった。設営班とした優秀な先輩と資料を元に案内表示や当日の流れなどを確認していた。他の人が「ここはこうしたら」と作業配置転換を率先して行う中で妖精さんテープ係に任命された。テープで何かを貼るというより、セロハンテープの台を持ってついてくるだけだった。作業後に先輩は「妖精さんはそこにいてくれることが仕事から」と言った。先輩は実質の妖精さん担当で、妖精さんのするべき仕事を大体事前にこなしていた。「妖精さんは、もう妖精さんという現象なので深く考えないでファンタジーを楽しむくらいの心構えが必要」というようなことも言っていた。

随分時間が経って、若造も優秀な先輩と同じくらいの年齢になってあの妖精さんがどうして妖精さんになったのかは何となくわかるようになった。民間だったらクビなんだろうが、残念ながら公的機関だった。妖精さんは健在であればそろそろ定年だろうか。その後妖精さん予備軍に何度か遭遇したが、職場全体で妖精さん存在を受け入れていた(?)のはあそこだけだったと今なら思う。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん