隣地は週に数回、管理人が訪れる程度。
鉄筋コンクリート造の建物と複数の倉庫があり、建物外でも雨風凌げる場所が多い。
親猫には都合が良さそうだ。
仔猫は3匹いて、遠目にはその様子は可愛らしかったが、アパート住民からしたらやっぱり不都合なことだった。
車に傷がつき、糞の匂いが漂った。
野良猫がアパート敷地内にいれば追い払うし、忌避剤をまいたが、安全地帯と化した隣地があるかぎりどうにもならなかった。
隣地の管理人にも協力してもらって、どこか棲家を変えてもらわなければならない。
いや訴えようとした。
管理人はこちらの話を遮り「対応します」と短く答えて、すぐに去ってしまった。
その冷たさから、隣地の管理人が餌付けをしているのか(なお餌付け現場は見たことない)、対応する気がないのか、そういうふうにしか思えなかった。
それから、特に様子は変わらず、アパート敷地内で見つけては追い払う日々が続いた。
それから、約三週間後。
普通に死んだだけに見えた。
そして、これ以降、猫を見ていない。
あの日、隣地は草刈りとか一斗缶の撤去とか少しだけ掃除がされていた。
相変わらず猫が隠れる場所はたくさんありそうに見えたが、この環境の変化を嫌がって引っ越したのだろうか。
でも考えてしまう。
そこで何が起きていてもわかりようがない。