2か月ほど前を振り返ってみると、菅政権は五輪開催に向けての体面を整えるため、感染者数の減少は中途半端でも五輪開催前には緊急事態宣言を一旦解くだろうと自分は思っていた。案の定、6月20日に緊急事態宣言は解除された(沖縄を除く)。
この頃すでにデルタ株の危険性は取り沙汰されており、その日の東京都のコロナ感染者数は300人を超えているので、コロナ収束を目的とするのであれば宣言を解除する合理性は無かった。6月20日の緊急事態宣言解除が決まった際のブックマーカーの反応は実に予見性に富んでいて、今読み返すと面白い。https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20210616/k10013088581000.html
ワクチン接種率が十分でないため、緊急事態宣言が解除されればもちろんコロナの感染拡大は再開するが、この時点の菅政権の目論見を思うに、おそらく五輪期間中は多少無理やりでも緊急事態宣言を再発令しない方向だったのではないだろうか。しかし、政権の誤算はデルタ株の威力が思いのほか大きかったことかもしれない(いや、誤算というか、普通に気付けよ、お前という話ではある)。
かくして感染者数は指数関数的な増加を始め、6月20日の宣言解除からわずか3週間足らずの7月10日、東京都のコロナ感染者数は950人にまで増えた。事態の悪化にあわてた菅政権は五輪開催が2週間後に迫る7月12日、再び緊急事態宣言を発令した。
緊急事態宣言をすると、それまでは1週間あまりで感染者数の山がはっきりと低くなり始めていたが、今回はそうならなかった。そうならなかった理由として有りそうなものを感染拡大要因と感染収束要因に分けて考えると、
感染拡大要因:
①デルタ株
②オリパラ開催による楽観バイアス(オリンピック開催するならもう大丈夫っしょ/なにーこの状況で五輪開催だと?けしからん、おれも自粛止める!など)
③高齢者へのワクチン接種率向上による楽観バイアス(おじいちゃんとおばあちゃんにうつして死なせてしまう可能性が無くなったなら、少し羽目外しても大丈夫でしょ。)
④ワクチン
①②③は効いてしまっている一方で、④はデルタ株に対してはやや効きが落ちているし、接種率も感染拡大に歯止めをかける域には達していない。⑤については、1年以上に及ぶ長期の自粛生活と、緊急事態宣言の乱発(オオカミ少年効果とでもいうか)で、自粛を促す効果が薄れている。
さてようやく本題だが、②は五輪が理由。⑤は6月の緊急事態宣言解除のみ五輪が理由だと思う。ただし、楽観バイアスでどのくらい感染が増えたのか、政権は五輪が理由で6月に緊急事態宣言を解除したのか、これらは検証が難しい。実際、綿密な検証はなされないまま、そう思う、以上の話にはならずに終わるのではないだろうか。
自分は今の感染拡大について五輪が最大の原因とは考えていない。五輪「も」原因だと「思う」。もっと言ってしまえば、ガースーが総理をやっていることが我が国のコロナ収束におけるボトルネックくらいに思っている。
へーじゃあ政権交代したらみんな政府の言うこと黙って聞くようになるんだ すごいね