自分は毒親育ちなんだとか虐待サバイバーなんだとか、そういったことを三十歳過ぎてもおおっぴらにアピールして回る奴とはお近づきになりたくない。
割と本気で思っている。
遺伝子的には身長180センチくらいまで育つ素質があったのに、
子供のころネグレクトされていたために栄養状態が悪くて150センチくらいにしかなれなかった人がいたとして、
そしてその人が長じて、上司に「指示された物を倉庫から持ってくる仕事」を命じられたとする。
倉庫の棚の、自分の身長では届かない段に目的の物があったとして、その人がその場でやるべきことは、
踏み台を使ってもいいから、とにかくそれを取ってきて上司の元へ届けることであろう。
あるいは、よく使う物は棚の取り出しやすい段に置くといった倉庫のレイアウト変更を掛け合うとか、
そういうことではないだろうか。
「俺は! 本当なら180あるはずなんです! 親が悪いんです! だから届かないんです! 俺はネグレクトの被害者です!!!!!」
と訴えられても、上司としては「俺にそれ訴えてる暇があったら踏み台使って持ってこいや」であろう。
「本当なら180センチあるはずなのに150しかありません、どうすればいいですか」と言われても困るだろう。
「身長を伸ばす方法」をググっても、出てくるのは怪しいWebサイトだけだろう。
本当なら180センチになれたのに、150センチで終わってしまったことは気の毒に思う。
あの人、めちゃくちゃ頑張ってるのに踏み台の出し入れで時間をロスするせいで業務成績一番になれない…家庭環境のせいで……………
なんてことが、これからは起こらないようにしたいとは思う。
今、困っているのであれば、踏み台を貸して欲しいならいつでも貸すし、
倉庫のレイアウト変更だって、自分には必要なくてもその人に必要ならよろこんで協力する。
だけど、
「身長を30センチ伸すにはどうすればいいんだ、教えろ、教えてよ、教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて」
とか、
「お前は苦労知らずで180センチ……その30センチが俺も欲しかったのに。欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい」
とかには、さすがに付き合いきれない。
手の届かない棚を前にして、ちゃんと食べさせてくれなかった親を恨む気持ちが沸いてくるのは当然だと思う。
しかし、
高い棚にある物を取ってくる仕事を「親が悪いからできません!」で済ませられては、世間は困るのだ。
恨みは親とかにぶつけてくれ。
それはそれとして、仕事は仕事で合理的に踏み台使ってくれ、なのだ。
だよねえ 社会的に成功してる人で背が低い人で身長が低いことを根に持ってるチビオジサンなんてどこにも居ない