2021-02-14

中学生だった僕が、母の日に、生まれて初めてたった一人で調理をした

anond:20210213020104

その日は、普段料理を作ってくれる母を労うため、夕食の支度を担当すると申し出た。予算が言い渡されて、その中で献立を考えることになった。その頃自分は、ステーキ肉の脂身から卒業して、刺身のうまさに目覚めた頃だった。刺身ならご馳走だし、ややこしい調理もない。包丁さえ操れれば料理初心者自分でもなんとかなりそう。というわけで、父親ダイエーまで連れて行ってもらい、刺身用のアジを丸ごと一匹買ってきた。値段もお手頃だし、それでいて王道マグロより光り物の方が大人っぽく贅沢な気がした。しかそもそも魚など捌いたことがない。雰囲気で三枚おろしに挑戦するも、案の定、身がボロボロになりとても刺身にできる状態ではなくなった。涙目になる僕。そこへ父が助け舟を出してくれた。父が言うには、アジを細かく刻んで味噌やらネギやらと一緒に包丁で叩いた「なめろう」なる料理があるらしい。そこで急遽、もはや刺身とするには目も当てられないほどよれよれのアジの身を、証拠隠滅の勢いで叩いてなめろうに仕立て上げ、人生初の手料理を母に振る舞うことができた。母はいたく感動したらしく、それを同級生ママ友に触れ回ったせいで、それからしばらく僕は周りからからかわれることになった。基本口数少なめで、ラグビー部所属しているような思春期男子校生が料理なんて、と。まだ昭和だった頃のなめろう一口話。

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