「斜に構える」という言葉は、もともと剣術から生まれた言葉で「改まった態度を取る」という意味だったが、
「皮肉めいた不真面目な態度を取る」という誤用が広まってしまったため、今ではそちらの意味でも辞書に掲載されている。
「すべからく」という言葉は、「当然●●すべき」という意味だが、
「すべて」「総じて」「おしなべて」という意味で使われがちである。すべてと音が似ているからだろうか。
文章を書くときでも会話するときでも、こうした誤用の多い言葉は避けることができる。
誰もがわかる表現に変えることで、意思疎通のすれ違いを防止可能だ。
一方、そうじゃない言葉がある。
誤用が多いとまでは言わないけど、稀に誤用している人がいる、という言葉。
例えば頻度を表す言葉。
「しばしば」という言葉は英語でoften、それなりの高頻度を表す言葉だが、
「時々、少し、稀に」という意味だと認識している人もいる。本当にいる。
「5分弱」と言った場合、4分50秒とか、いわゆる「5分足らず」を意味するのだが、
「5分とちょっと」という意味で使う人もいる。これは結構多い例かもしれないが。
ああ、この人間違ってるな、こういう意味で使ってるんだろうなと脳内変換してスルーすれば済む話だ。
だが、例えば仕事中にこういう人に遭遇すると、なかなか困ったことになる。
正しい意味で使った自分の言葉を、その人特有の誤用で解釈されると厄介だ。
先に上げた頻度や時間の程度を表す言葉に関しては、ギリギリ避けられるかもしれない。
具体的な割合で伝える、秒単位で伝えるということも可能だろう。
だが、いつもいつもそこまで気を配ることはできない。
というか、「しばしば」問題は実際に起きた。
「取引先が使ってきた正しい意味での"しばしば"という言葉を、自分の上長が間違った意味で指摘する」という状況だ。
幸いその上長が話しやすく、人の意見を受け入れてくれる人だからなんとかなったが、
すべからくの誤用は本当に多い。学者の論文でも誤用されているレベルでもう心底うんざりする。あれどうにかならないのかね。