先週金曜の夜、私は仕事を終えいつものように車に乗って帰宅しようとしていた
会社から自宅まで普通なら片道30分程度だが、朝夕のラッシュ時は1時間近くかかる
特に混むのが自宅少し手前にある右折専用レーンのある交差点である
片側2車線なのだが右折待ちの車が多いため、1キロくらい手前から右側車線の流れが非常に悪くなる
ぎりぎりまで左側車線を走って右側車線へ割り込めればいいのだが、「順番抜かしは許さない!」という鉄の結束のもと地元のドライバーたちは絶対に割り込みを許さないので
下手に左側車線にいくと右側車線に戻ることが出来ず、曲がりたいところを曲がれないまま交差点を通過しかなり先の交差点まで行ったところでUターンを余儀なくされる恐怖の交差点なのである
その日も私は右側車線をノロノロと進んでいた すると私の後ろにいた白い軽自動車が左側車線へ車線変更し私を追い抜いていった
軽自動車を運転するおっさんの横顔を見ながら私は「無茶するなあ 何をそんなに急いでるんだか…」と考えた
仕事で取引先との待ち合わせに遅れそう?風俗店を予約してて予約の時間に遅れそう?などと勝手に理由を色々と想像しながら私は車を走らせた
すると左側車線も道路沿いのドライブスルーに入ろうとする車などで混んでおり、私は先ほどのおっさんの車に追いつき並走する形となってしまった
右折レーンの交差点は近づいてきており焦るおっさん、私と私の前そして私の後ろの車は息のぴったりあったアクセルワークを披露しおっさんに割り込む隙を一切与えなかった
だが私はさきほど見たおっさんの車のナンバーが9-11だったことを思い出し、ひとつの可能性に気付いた
「今日は9月11日、車のナンバーは子供の誕生日?子供の誕生日を祝うために急いで帰宅しているのかも…」
右折レーンは目の前に迫ってきており、もう少し進むと車線変更禁止ゾーンというところでおっさんは私の前に割り込もうとウインカーを点滅させてきた
割り込めるだけの車間は無く私がそのまま走ればおっさんは割り込めない、だが私はブレーキを軽く踏み私の前におっさんを割り込ませてやることにした
割り込みに成功したおっさんはハザードを点滅させた 点滅回数は4回 それが私には「す・ま・ん・な」というおっさんのお礼に感じられた
「気にしなくていい それより子供誕生日を祝ってやってくれ」という気持ちを込めて私は「え・え・ん・や・で」と5回クラクションを鳴らした
最後の「で」にはおっさん頑張れというエールを込めてより長めに、「プップップップップーーーーーーーーーーーーーーッ」とクラクションを鳴らした