2020-07-24

己を縛るもの多過ぎない?

この前朝早くに家を出たらさ、通行人も車もちょうど途切れててすげえ静かだったんだよ 俺以外の人類が突然消えてしまったんじゃないか?と一瞬不安になるくらい静かだった 10秒後くらいに普通に車が来たけどさ

でもあの一瞬、全てから解放されたような気もしたんだよな

全てっていうのは本当にすべて 仕事だけじゃないぞ 戸籍とか住所とか貯金とか学歴とか、名前とか年齢とか資格とか、そういうものすべて

俺ひとりしか人間がいないなら全部どうでもいいわけじゃない 免許更新が迫ってるなんて気にしないでいい 金なんか何にも関係ない 自分が誰だって名乗ってもいい どこで寝てもいい どこに住んでもいい 手続きなんていらない

でも実際にはいろいろあんじゃん 俺にまつわるいろんなことがデータ化されて管理されててさあ、引越しひとつするのにも関係書類が要ったりする 身体だけ動かして、引越し先の家に入ってしまえばそれでもう住所は移動完了!ってわけにはいかない 他にもマジでうんざりするくらいたくさんのデータが俺に紐づけられてて、それをいちいち整理しないと動けない

なんつうかさあ 自由になりてえよ

人類が突然消えたら俺は三種の神器を肉眼で見る旅に出るよ その辺のスーパーとかコンビニから缶詰と水奪ってさ、ホテル侵入して泊まってさ、その辺にウンコしてさ 博物館なんかを見つけたら入っていろいろ見て回る 旅程なんて組まなくていいんだ自由から やりたいことができたらすぐそっちに行っていい

八尺瓊勾玉が安置されてるとこに押し入るんだよ で、見てはならぬそれをガン見する そのあとは知らん ションベンかけてもいいし、破壊するのもいい べつにほっとくんでもいい どうでもいいからな

人類最後の男としてそういうどうでもいい旅がしてえんだ俺は 人類消滅の謎とか種の保存とか全部捨ててさあただ自由にウロつくの 国会議事堂議長席に座る!とか国宝の刀を振り回す!とか水族館水槽で泳ぐ!とか そういう野望を叶えていくわけですよ まあ全部それなりに急がないと物理的に無理になるかもだが、その無理さは物理的だから爽やかだ

俺がいまそういうことができないのは物理的っていうより法的・社会規範的は話なんだよな それが我慢ならねえんだわ

あした起きたら人類が消えてないかなあ 俺に自由旅路を与えよ

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