大学を辞めてしまい、ふらふらしていたがIT企業に就職した。文系でプログラミング未経験だった。
研修は数ヶ月で、まともだし、楽しい。
SES部門に配属された。覚悟していたつもりだったが、甘かった。
見せられた私のスキルシートは、経歴詐称の嵐だった。使ったことのないフレームワーク、DB。基本はいっしょだから大丈夫と営業の人は言った。
現場に出るため、面談の練習を始めた。詐称している経歴をもとに、スキルシートの説明と質疑応答。
実際にはやったことのない案件のことを詰められ、ダメ出しされることも多い。きちんとどういう処理をしたかイメージしろと言う。
会社の命令で嘘をつく練習を毎日している。
スキルシートでの自分と、実務経験のない今の自分との乖離。どちらベースで答えたらいいのかわからなくなる。あるいは両者がごっちゃになる。
SES自体がグレーなことも相まって、嫌悪感が募っていく。
ある日、練習で詰められて頭が真っ白になり、黙ってしまった。泣いてしまった。どうしてやってもないことでこんなに詰められなければならないのか?どうして正社員になってまで嘘をつく練習をしているのか?
そう思ってしまい、途端涙が止まらなくなった。
確かに、コミュニケーションを取る場で黙ったのは良くなかった。しかし、本来は面談すら違法だとつままれてもおかしくはない。
日に日にナチュラルに嘘をつくようになる自分。
優しくもなんともない嘘。
自分が汚く思えた。
辞めるわけにはいかないので、数年実務経験を積んで転職だと自分を納得させた。
大丈夫だよ。派遣先も気づいてるから。派遣先の人はそのまた上司に説明できるような経歴書であればOKってなだけ。 あなたが何者であるかなんて、なんとなく気づくだろうし、そこ...